しおえもんGoGo

犯罪都市のしおえもんGoGoのレビュー・感想・評価

犯罪都市(2017年製作の映画)
3.8
悪人伝で初めて知ったマ・ドンソク。あの時も極道の大物がはまり役だったけど、今作は恐らく彼の魅力を最大限に活かせる役だと思う。

刺されても死なないだろうという安心感、一応一回は口で言うけど二度目は張り手が繰り出される短気さ、部下や町の人に見せる男気、ユーモア、コミカルさ、一方でハードなアクションと容赦ない暴力。
彼のチャーミングさと強靭さと強面という魅力がそのまんま投影されたような映画だ。

特にオープニングの、みんなが遠巻きにする喧嘩に電話片手にさっと入って手をバキっと折って、あっさり制圧する流れがいい紹介となっている。

コメディパートと、サスペンスパートで緩急の振り幅がものすごく大きい。
起きる事件は韓国映画らしく残酷で陰惨なのに、次の瞬間にはコントが始まっている。
それでも黒竜組だけは笑いは一切無し。徹底した暴力を前にしては人は簡単に支配されるしかなく、恐怖がどんどん広がっていく中で、見ているこっちもマ・ドンソクに期待するのだ。
あの人ならきっとこいつらをコテンパンにしてくれるはず。こいつらに痛みを味わわせてくれるはずと。
黒竜組のボスはいかつい系じゃなくサイコ系の怖さで存在感抜群だった。
しかし実際の事件ではもっと残酷なことが起きていたらしく、その時代はさぞ恐ろしかったことだろう。

笑いと暴力のシーソーがクライマックスに向けて加速して行く緊張感が良かったし、既に冒頭の字幕で「一斉検挙」とハッピーエンドが保証されているので安心して見ていられる。
マ・ドンソクは刺されても大丈夫だろうから、後は部下の人達が死なないかを心配しながら見ていた。
韓国映画は容赦なく人を殺すので、子供だろうが、コメディパートがどれほど面白かろうが気が抜けないのだ。

特に好きなシーン
・毒蛇組とイス組の「仲直り」
・食堂の子供に酒を勧めたりしてからかった後、一人残された後ろ姿の哀愁
・風呂屋で「古参の毒蛇組は刺青がある」→入れ墨のヤクザ入場→ゆで卵剥かせる→「パサパサしてるぞ」→「ゆで卵ですから」→「そうだな」の下り
・さりげなく監視カメラを段ボールで隠す班長
・真実の部屋

その他
・朝鮮族って初耳だったのでいったん中断して調べたが、知らない歴史だった
・マ・ドンソクの腕が太すぎて半袖の袖口で血が止まってるんじゃないだろうか
・イス組の組長室に乗り込んだ時にラーメンを鍋の蓋に乗せて食べる食べ方にびっくり
・韓国の還暦祝いが派手だったし、子が親を背負うというのが日本の赤いちゃんちゃんこみたいで、やっぱり同じような発想になるのだな
・登場人物の女率の低さトップクラス
・格闘シーンの残酷さはさすが。改めて「斧って怖いな」と思う。鈍器+刃物だものね
・マ・ドンソクの部下二人が地味に優秀で良かった。名前は覚えられなかったけど
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