えいがうるふ

ベン・イズ・バックのえいがうるふのレビュー・感想・評価

ベン・イズ・バック(2018年製作の映画)
3.7
出た!ジュリア・ロバーツお得意の己の信念で突っ走る母。今回はほぼ同年代の息子を持つ母としては共感できるどころか何度もちょ待てよ!と往年のキムタク化しそうになるぐらい母親の言動の一貫性のなさとエゴとダブスタぶりにムカついた。彼女の周りが見えないほどの息子溺愛ぶり(マギーのママが気の毒すぎた)&過干渉が当人の立ち直りを一番阻害している気がしてならなかった。

しかし、実際に我が子が薬物中毒で更生施設入りしていない以上、私が彼女と同じ心境になどなれるはずもなく、まして彼女を責めるなど所詮親子の修羅場をまだ知らない私の思い上がりなのかもしれない。まして、彼女がそこまで強迫的に我が身を呈して息子を守ろうとする思いの根底にあるのが自らの離婚で子どもたちを傷つけたことへの負い目なのだとしたら、なおさらその重く複雑な思いの深淵に共感できるわけがない。

ともあれ、近年アメリカで大きな社会問題になっているというオピオイドクライシスについて、改めて学ぶきっかけになったという意味では、ものすごく鑑賞意義のある作品だった。
ちなみに興味のある方向けに、こちらの記事が非常に分かりやすかったのでご紹介しておく。
鎮痛薬オピオイド危機に見るアメリカ社会の病理と深層
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17426