もけ

工作 黒金星と呼ばれた男のもけのレビュー・感想・評価

工作 黒金星と呼ばれた男(2018年製作の映画)
4.1
ロレックスの使い方が凄く良かったですわぁ…


90年代に北朝鮮に潜入した実在の韓国スパイの映画。
全編緩むところがなく重厚で濃厚な緊張感が2時間強の上映時間を支配してる。
んだけど、その中で図らずも芽生える友情が物語に切なさと感動を与えてくれる。

主人公のスパイは当初北の核開発の状況を探る為に実業家として潜入していたんだけど、韓国大統領選が絡んできて「北風事件」と呼ばれる政権与党が北に武力挑発を依頼して政権維持しようとする企みの渦中に巻き込まれるという話。

派手な銃撃戦とかそういうのは全くないんだけど、あくまで「実業家」として潜入していく中での駆け引きがヒリヒリするほど濃密で見応えがあって、その中で見えてくるそれぞれに祖国を想いつつも互いに平和を望む想いが終盤の展開に影響を与えていて、ベタっちゃあベタだけどこれがもう素晴らしい。
ビジネスの話をしているのに政治的状況のせいで互いに命懸けだからね。
どのくらい脚色されてるのかは知らないけど、与党の利益の為に故意に軍事的緊張を作るという、現代でも、今の日本でも普通に聞く話に友情で「NO!」と言う物語でしたよ。

『タクシー運転手 約束は海を越えて』『1987 ある闘いの真実』と続けて観ると、今作は「民主化」という面を強調しているわけではないけど韓国の民主化の近現代史を知れてより楽しめると思います。



(ツイッターに書いた感想をコピペして再構成)
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