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ある少年の告白のichiのレビュー・感想・評価

ある少年の告白(2018年製作の映画)
3.7
幼少期のホームビデオから始まる。
その光景は微笑ましく幸せなふつうの家族が映し出されている。

父は牧師で毎週日曜日は家族で教会に集う敬虔なクリスチャンの家庭で育ったジャレッド。
ある日、ジャレッドは自分がゲイであることを告白する。
それを聞いた父は息子を同性愛から克服させようと矯正施設に入れる。
ジャレッドは施設への違和感を感じながらゲイを克服しようと努めるのだが…。

ゲイを告白された両親の気持ちはわからないでもない。もちろん完全にではないし僕が想像している何十倍も複雑な気持ちになるのかもしれない。
特に牧師をしていて同性愛が神の教えに反しているということを充分心得てそれを説教する立場にいる父は早急になんとかしないといけないと考えたのだろう。
知人の牧師を集めてそして施設に入れる。

結果的にジャレッド本人も言っていたけどもっとジャレッドの話を聞いたほうがよかった。
施設はジャレッドの為と言いながらその実自分の立場のことしか考えておらず、それはジャレッドの問題を見て見ぬ振りしていると同じことになっていた。

矯正施設のクソみたいなプログラムには恐怖と怒りを覚える。
ゲイは罪だ、お前は罪人だと刷り込ませ
その後ろめたさにあたかも優しい手を差し伸べるように希望の言葉を与える。
神の教えと人の教えをミックスしそれが正しいと洗脳するようだ。

神の教えは強制するようなものではない。クッキー生地を型どる型のように扱ってはいけない。
クッキー生地にハートの型を押し付けてそのハートの部分だけをみて愛してる、又はこれが正常なあるべき姿だと言っているようなもの。

最終的に母が示した愛を持たないといけないとおもった。まずは向き合ってその人の問題含めて愛する。聖書の中にはキリストのような愛を慈愛と呼んでいるけどその慈愛を誰にでも持てたらと思う。

そのような人に成りたい。
きっと慈愛は型ではなく、自身を自分自身で変えられる力を生み出す助けになるのだとおもう。
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