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ジョン・コルトレーン チェイシング・トレーンのtjZeroのレビュー・感想・評価

3.7
これ、まず、音楽ドキュメンタリー映画として、音がイイ👌のがポイントが高い。
わが家の貧弱な📺のスピーカーからでも、ジョン・コルトレーンの🎷がビンビンに鳴り響く。

”声”もいいですよ~。
己(の音楽)を語るコルトレーンの声を、あのデンゼル・ワシントンが吹き替えている。
実直そうな声色がよく合っている。

そう、コルトレーンの特徴は、ホントにマジメ。
練習熱心だし、サックスの科学者、と呼ばれるほど音色の追求に余念がない。
宗教、人種問題、日本の被爆者への追悼…などなど、音楽を捧げる姿勢も真摯。

そういう意味で、もう一方の雄、マイルス・デイヴィスとは対照的。
マイルスはいろんなジャンルの音楽を貪欲にとり込み、フェラーリを乗り回し、ファッションも派手で、絵画にも才能を発揮した。
イメージとしては赤が似合う。

コルトレーンは青。努力とか、追求とか、信念…といった言葉がふさわしい。

後年のミュージシャン、たとえばマイケル・ジャクソンなんかには、マイルスの赤のイメージ(アフリカ系アメリカ人のキラキラするような才能の発露)と、コルトレーンの青(その陰にある苦悩、痛みへ共感する力、癒し)のイメージが融合しているように思う。

本作は、そんなコルトレーンの一途で、まっすぐで、生き急いだわずか40年の生涯を、コンパクトに100分以内にまとめている。

観ていて、コルトレーンが育ち、音楽の拠点としたフィラデルフィアに猛烈に行きたくなってしまった。
映画では『ロッキー』、ポップスではホール&オーツの故郷でもあるし、伝統と人種の融合のバランスがいい街なんだろうなあ、と思う。
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