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志乃ちゃんは自分の名前が言えないのryacのレビュー・感想・評価

4.8
最高に良かった!!なんかもう中盤のミッシェルの『世界の終わり』歌うあたりから終始涙目になってた……

とくに卓抜な演出や秀逸な伏線回収といった要素があるわけではないけれど、あらゆる面で非常に優れた作品だと思う。
とくにコミュニケーションがうまくいかないときの歯がゆさ、気まずさみたいなものの表現があまりに秀逸で、見てるだけで心拍数が上がりそうだった。
メインとなる三人の登場人物の抱えるそれぞれの葛藤や欠落の描き方も素晴らしく、それらを集約したラストシーンには尋常じゃないくらい揺さぶられる。

原作漫画のいい所は忠実に映像で再現しつつ、細かいディテールや人物描写、台詞回しなどがよりリアルにブラッシュアップ。
中でも原作では描写の少なかった菊池というキャラクターの掘り下げが印象的で、物語上不快な言動を繰り返す彼にも事情があることが分かり、一筋縄ではいかない本作により深みを生じさせている。

あと舞台となる、海岸沿いにある小さな高校の描写もものすごく良かった。

『あの素晴しい愛をもう一度』といえば連想するのは『パッチギ!』だったけど、本作がそれを上書きしていった感。
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