牛猫

15時17分、パリ行きの牛猫のレビュー・感想・評価

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
2.0
554人の客が乗る高速鉄道で発生した無差別テロ事件に立ち向かった3人の青年を描いた話。

実際に起きた事件を忠実に映画化した作品ということで、主演の3人も本人をそのまま起用したのだそう。体験談をそのまま映画化したとはいえ、素人とは思えないくらい自然でおおよそ演技とは思えなかった。

しかし、映画としてみれば題材は至って平凡なテロリストもの。世界仰天ニュースとかで取り上げられそう。
あと、事件が起こるまでの観光パートがいくらなんでも長すぎる。ここをしっかり描くことによって事件パートが際立つのかもしれないけど、見慣れた観光地を散策するだけで、特に何か伏線やイベントがあるわけでもない。退屈でしかなかった。
ただ、アメリカ人にパリが不人気なのと、ヒトラーの最期にまつわる認識がアメリカ人と現地人で食い違っていたのが興味深かった。

あと気になったのは、テロに立ち向かう行為を美化しすぎ。確かに銃を持つテロリストに立ち向かった勇気や行動力は称賛されるべきなのかもしれないけど、テロを防いだ3人にばかりフォーカスが当てられて、テロリスト側の素性や背景が全く描かれないのはフェアじゃない。最後に実際の栄誉授与シーンやパレードの映像を持ってくるのも嫌らしい。
結局アメリカ万歳がやりたかっただけなのではないかと勘繰ってしまって、素直に観られなかった。
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