幽斎

ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談の幽斎のレビュー・感想・評価

4.0
皆さんは「ホラー」と「怪談」どう選別されてるでしょう? horrorは恐怖を味わう物語、怪談は語り部が自分の体験談を話すモノ。本作は2010年にイギリスで舞台として上演され大好評を博した作劇を映画化したモノ。面白いのは英国の雰囲気を壊したくないとの思いから、ハリウッドの制作を断り、英国のインディ映画界の気鋭ワープ・ フィルムズを選んだ。この会社、結構いいセンスしてます。

粗筋からするとCillian Murphy主演「レッド・ライト」の様な話を想像しますが、超能力と超常現象の違いこそあれ、それ自体は、「世にも奇妙な物語」と大差ない感じて、視覚効果も低予算丸出しですが、本筋はそこでは有りません。幽霊と言うのは人間の思念が「死」と言う負のエネルギーで生まれ、現世に後悔や恨みを残した者が実体化するそうです(一部友人の受け売り)。

グッドマン教授役のAndy Nymanは舞台でも同じ役を演じてる、彼の真面目な性格が良く分る演技は、物語に大きなうねりと為って表れる。共演のMartin Freemanも渋くてカッコいい、1人だけ良い役貰ってハイソな家が似合うなぁ、と思ってると・・・ね。最近では舞台でも様々な視覚効果が有り、Perfumeのライヴなど映画を超えたんじゃないか的な仕掛けも有る。とはいえ自由に編集出来たり、カメラの位置が変えられる等違う点も多々有る。従って俳優の渾身の演技と緻密な脚本は欠かせず、本作はそう言った意味では良く出来てると思います。

特筆すべきは伏線の凄さでしょう、ハリウッドのスリラーも真っ青な回収具合は見事です。流石イギリスの舞台で高評価なのも頷けます。まるで優れた戯曲をそのまま読んでる様な味わいは、やはり英国産に拘っただけは有ります。これを観て私も舞台が観たくなりました。

この作品をホラーとして観ると失敗します。サスペンスでもスリラーでも有りません。「英国幽霊奇談」と言うほど上品なお話でもありません、寧ろB級です。作品のヒントはレビューに散りばめて置きました、自己責任で観て下さい(笑)。
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