さうすぽー

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのさうすぽーのレビュー・感想・評価

4.7
自己満足点 92点

1969年にタイムスリップした気分になる最高に面白い「おとぎ話」でした!

クエンティン・タランティーノは大好きな監督。
レオナルド・ディカプリオは大好きな俳優。
ブラッド・ピットも大好きな俳優!

レオ×ブラピ×タランティーノのタッグはやはり最強だった!

主人公はレオナルド・ディカプリオ演じる落ち目の俳優リック・ダルトン。
そしてブラッド・ピット演じるリックのスタントマン(兼奥さんw)であるクリフ・ブースの二人。
そして、マーゴット・ロビー演じるこの映画のキーパーソンであるシャロン・テートの三人の視点で当時のハリウッド業界を描く群像劇であります。

まず、この映画は語りたい事がたくさんあり過ぎて、どこから話して良いのか迷ってしまいます!(笑)
しかし、タランティーノから「ネタバレ禁止令」が出されているのでこの映画の魅力を主に4つに分けて話します。




①ディカプリオとリック・ダルトン
今回はディカプリオとブラッド・ピットというハリウッドスター二人が共演するというだけでも凄いことですが、どちらもキャラクターに見事にはまっていました!
ディカプリオは落ち目のスター俳優という役柄ですが、考えてみたらディカプリオ自身も最近は映画に出演していなかったので自身も少し落ちぶれ気味だった可能性も。
そんなところも、落ち目のリックにはまっていたポイントなのかなとも思います。
リックのキャラクターは実力はあるものの(観た感じそう思えた)、ちょっとした事で気が沈んでしまう繊細な人物で、その感情的になったり繊細な演技がまた素晴らしい!
今回はそんなリックの俳優としてもう一度成功しようと奮闘する話でもあります。



②ブラッド・ピットとクリフ・ブース
彼演じるクリフ・ブースはリックの専属スタントマンでありながら雑用を難なくやったりする相棒であり親友でありますが、リックを支える姿はどこか献身的に支える奥さんのようでした(笑)
もうこの映画のヒロインはブラピと言っても良いんじゃないの?(笑)
普段は穏やかだけど、スタントマンの性なのかどこか危うい部分も兼ね備えていたりと色々と個性がある人物で、それをブラピが熱演していました!
メチャクチャ格好良い!!
恐らくここ数年観た中で最もカッコいいブラピだったと思います!
忘れていたけど、ブラピは筋肉質ですね!服脱いだときの鍛えっぷりはヤバいです。
あと個人的に犬との絆も良かったです。



③マーゴット・ロビー含めたキャスト陣
実在してた人物の再現度も凄まじいです。
マーゴット・ロビーのシャロン・テート似すぎです!
彼女に関しては自分の映画を観てるシーンが物凄く良いです。何処と無く愛おしい存在に描かれていたことが事件に巻き込まれてほしくない気持ちにさせられます。
スティーブ・マックイーンも凄く似てました!
また、デス・プルーフでキチガイなスタントマンを演じたカート・ラッセルがスタントマンの長というのも面白いし、プロデューサー役のアル・パチーノも出番は少ないですが凄くノリノリで楽しそうでした!

また、劇中出てくる子役のトルーディはディカプリオを慰めたりプロ意識がしっかりしている姿が凄く良い!
演じたジュリア・バターズも素晴らしいです!
彼女自身も非常にプロ意識が凄く、趣味嗜好や行動も大人っぽいらしいので、彼女の特徴をそのままキャラクターに充てたのだと思います。
この子の今後が楽しみで仕方ありません!



④69年当時のハリウッドの再現度
これも本当に素晴らしかったです!
タランティーノの映画は他の作品でも撮影のセット等をこだわって作り込んでいますが、先ほども話したように本当にタイムスリップしたかのような再現度です。
そして、映画の撮影スタジオのセット!
このワンハリの話の中で撮影される作品のセットという形ではありますが、何ですかあの作り込みは!!
当時のハリウッド映画の裏側がこんな風になってたのかと言わんばかりのこだわりで、まさしくお金がかかった映画のセットと言わんばかりの作り込みでした!
また、都市の風景にもこだわりがあって、当時のアメ車がこれでもかと言うくらい至るところに走ってたり停まってたりしてました。
これだけ作り込んでいながらよく100億円以内に落とし込めたものです。

その他にも、スティーブ・マックイーンの「大脱走」やロマン・ポランスキーを含めた映画の小ネタがちらほら出てくるので知ってる作品があればピンと来るものがあります。


これだけ好きだった点を上げながら唯一好きじゃなかったところをあげるとしたら、終盤に入る前のある重要な展開における場面の切り替えが少しあっさりし過ぎてたのでもう少し長く余韻を持たせて欲しかったくらいですかね。


今回も会話のシーンもありますが、ハリウッド映画における俳優やスタントマン、撮影の裏側といった映画マニアとしては興味深いネタが満載なので全然ダレなかったです。
そして、今回は比較的映像で魅せる演出が多かったり血みどろな暴力シーンもそんなに無い上に華やかで上品な作風なので、他のタランティーノ作品と比べても観やすいと思います。

ただ、この映画は多くの人が言ってる通りシャロン・テートの事件とマンソン・ファミリーの事を予習してないと置いてきぼりになってしまいそうなので、観る際はこれらを頭に入れて観た方が確実に楽しめます。
またこの映画は映画業界の裏側に対していかに興味があるか、そして60年代の映画や俳優の事を知ってるかで好き嫌いが分かれると思います。

個人的には名作「パルプ・フィクション」は超えないものの、近年のタランティーノ映画の中では一番好きな作品かも知れません!
今年観た映画の中でも大傑作でした!

2019年 ランキング3位