tetsu

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのtetsuのレビュー・感想・評価

5.0
何気にタランティーノ作品、2本目に鑑賞。

60年代のハリウッド。
落ち目の俳優"リック・ダルトン"は、スタントマンの"クリフ・ブース"と共に励まし合いながら、スターとして再び輝ける日をうかがっていた。
ある日、彼らの隣家にやってきた映画監督ポランスキーと、その妻シャロン・テート。ハリウッドの歴史に深い影を落とす"シャロン・テート事件"に向けて、幸せな日々は刻一刻と進み続ける...。

「60年代のハリウッド」を舞台に、リック・ダルトンやクリフ・ブースといった、愛らしい架空のキャラクターたちが駆け巡る、まるでオープンワールド型ゲームのような作品。しかし、登場する人物は、映画という世界の中で、しっかりと生きていました。

また、信頼しあった二人の男たちの温かな友情と、実在した女優・シャロンテートさんのささやかな日常描写には、いつの間にか涙が溢れていたり...。

もちろん、クライマックスに至るまで、大きな事件が起こる作品ではないですし、雰囲気を楽しむ部分も大きい作品なので、あまり合わないと言う人もいるのは分かります。
しかし、この事件で描かれる事件を知っていれば、見え方は大きく変わってくるはず...。

正直、『パルプ・フィクション』に出会い、タランティーノ作品を観るまで、映画における「グロテスク描写」は、ストレス解消も含めた娯楽としての一要素だったり、理不尽な現実を強調する表現方法だと思っていたのですが、本作を観ると、そんな考えはガラッと変わりました。

彼の描く暴力描写は、まさしく理不尽な現実に対する憤りや怒り、もしくは、そこからの救済であり、本作のあるシーンでそれが分かった瞬間、もう涙が止まらなかったです。

あぁ、この監督は、だからこそ、虚構である映画を愛しているんだなぁと。

正直、予備知識があるのとないのとでは、かなり差がでる映画なので、これから観る方には下の参考をお読みいただくことを推奨しますが、それを踏まえれば、これからの映画の見え方も変わってくる映画だと思いました。

実際、僕にとっては、映画の価値観が大きく変わった大切な一本になりました。

参考
【解説】『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ワンハリ徹底予習 ─ シャロン・テート殺人事件とチャールズ・マンソンとは | THE RIVER
https://theriver.jp/ouatih-1/
(これを読んで観に行って、本当に良かったです。)

オープンワールド - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%B3%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89
(ゲーム用語。まとめると、作り上げられた世界を自由に動けるってことですね。)
tetsu

tetsu