斜陽産業の靴工場の跡継ぎが偶然知り合ったドラァグクイーンの力を借りて会社を立て直そうとする話。
ジョエルエドガートンのまともな役を初めて見たかもしれない。
キウェテルイジョフォーも表情や佇まいに色気があって作り込みが凄い。歌声もパワフルで迫力満点。
ミュージカルの名作なだけあって、実話というのを忘れるくらいよく出来た話。
靴を作る工程も知ることができて興味深かった。紳士靴のベルトコンベアの中に一足だけ真っ赤なブーツが流れてくるカットが最高に良い。
印象に残る言葉がたくさんあった。
「ニッチ市場に敬意を払って」はかなり的を得ている思う。
「クズやはみ出し者は意外と味わい深いもの」も刺さる。
「何を成し遂げたかではなく、人の心に何を残したか」これも心に留めておきたい。いくら仕事ができても周りのことを考えられない人についていきたくないもんね。
それだけに主人公の終盤のクズっぷりが受け入れ難い。妻も残念な人だったけど関係がこじれたのは自業自得とも言えるし、仲間が戻ってきてくれたのもローラのおかげ。自分のプライドや世間体ばかり気にして他人を平気で傷つける。「グレイテストショーマン」のバーナムを見ているようだった。ローラとの和解のシーンはマストだったろうに、電話でとりあえず解決しようとするのも腑に落ちない。
勝手にミュージカル映画と勘違いしていたけど、音楽要素は少なめ。
FNS歌謡祭で三浦春馬が歌っていた姿が印象深かっただけに、少し拍子抜けしてしまった。