エソラゴト

バイスのエソラゴトのレビュー・感想・評価

バイス(2018年製作の映画)
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副議長、副委員長、副幹事、副社長…今まで送ってきた人生の中で学校やサークル・会社などの組織内での副○○という役職は、何をしているのか分からないという役割の不透明性や何かの都合や変更で長の代わりを務める為だけのスペア的存在、そういった点からもあまり重要性を感じられないお飾り的な立場、…そんなイメージが付きまとい、総じて存在感の無さや存在意義の希薄さを感じる役職のように感じていました。

実際、過去に自分も副○○という役職に就いたことがありますが、組織の長に助言や報告をして組織全体を動かすのは実質的には各々の部署の長達であることから、何か所在無さげなこの副○○という役職は単純に「閑職」であり、やり甲斐があるとは到底思えない職務だと個人的にも思っていました。

しかしそんなあまり目立たない役立たないような役職も一国の政治家となれば話は別。そのステルスな立場を逆手に取って、強大な権力と人脈を駆使して一国の首長を意のままに操り政治経済の動向を手中に収めていたならば…。国内のみならず国際情勢をも牛耳っていたならば…。そしてその野心や野望を焚き付け鼓舞していたのが誰あろうその人物の夫人であったならば…。

所謂フィクサーと呼ばれる影の人物の素性は分かりにくいもの。今作ではディック・チェイニーという人物を通して如何にしてその地位にのし上がったのかというサクセスストーリー的な部分と人を惹きつける人間的魅力の源、それを支えた夫人の功績が詳細に語られています。

登場する人物達も911以降の世界情勢の報道はテレビやネットで割と頻繁に目にしていたので、パウエルやライスといった国務長官など顔も名前も一致出来て物語にもすんなり入り込めました(演者達のソックリぶりもその要因として挙げられますし、パンフの詳しい解説も十二分に補完してくれています)

かれこれ20年近く前の話ですが、今作を観てまず気になったのは、現在のアメリカ政権の副大統領の存在。マイク・ペンス副大統領の評価は高いようなので、この当時の関係性と似ているのかもしれません。