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生きてるだけで、愛。のMaUのレビュー・感想・評価

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)
3.4
しんどい。しんどかった。でも、なんかわかる。私はきっと寧子だったような気がする。遠い昔。子供の頃。

鬱を抱えた過眠症の寧子。不感症かのように生きている津奈木。そんな二人が同棲していることだけでかなりしんどいけど、寧子の奔放、まんまの生き方は、五歳児くらいの自由さと背中合わせ。社会に不適応な寧子を、社会とはつながりながら不感症になったかのように押し殺して生きている津奈木が受けとめている、かのように見える毎日。受けとめてないんだろうけれど… 津奈木の元カノがきっかけでバイトを始め、社会とつながろうとするけれど、受けとめるよ、大丈夫、と満面の笑みで言われるとそれはそれできつい。だって寧子は自分でも自分を持て余しているから。人と人なんてそんなにかんたんにわかりあうことはないんだし。自分でも自分がわからなかったりするのに… しんどいな。このあとこの二人はどうなるんだろう。あ、少し津奈木が見えた。これから津奈木はどうするんだろう、そう思った瞬間に映画は終わった…

普通に生きている人が逆になんだか気味悪く見える。ストーリーのラストでは、カフェの人たち(西田さん田中哲さん夫婦)に居心地の悪さを感じた。見ていてなんかムカッとくる感じ。あと、津奈木の気持ちがあまりはっきりしないのが、というかその温度をパソコンの件以外あまり感じることができなかったのが残念。でも、人の感覚や行動なんて、すべて言葉にできないし、説明もできないし。しかたないかな。

寧子と津奈木、それぞれのキャラの出し方、うまいなー、と趣里ちゃん、菅田くんには拍手… そして個人的には、西田さん、松重さん、田中哲さんが脇にいて豪華… 西田さんのあの存在感、嫌いじゃないなぁ…

感覚でとらえるほうがいいと思う、という映画。色がきれい。
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