さんぴん

来るのさんぴんのレビュー・感想・評価

来る(2018年製作の映画)
4.0
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#映画備忘録 #20200906
#来る
監督脚本/中島哲也
2018/日本/134分
#Amazonプライム #映画部
#映画好きな人と繋がりたい
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2015年の澤村伊智による小説で、
後にシリーズ化された人気作品の
「ぼぎわんが、来る」の映画化作品。
監督に、告白、渇き。の中島哲也。
主演に妻夫木聡、岡田准一、黒木華、
小松菜奈らが名を連ねる。
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当時劇場で予告を見て、完全なる色物と
思って避けてたけど、すごい楽しい映画!
ちくしょう!劇場で見れば良かった!
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お話は大きく3部構成。
アバンの妻夫木君が迫ってくる「あれ」に
対峙しようとしてる所、不気味で良かった!
そしてお話の時制が少し過去に戻って1部、
妻夫木君と黒木華さんの結婚式から
新婚生活、出産子育て話。
ただここからもう不穏。空気が悪い(笑)
とにかく外面を良く保とうとする新郎の
妻夫木君、それに気付いて影で悪口を言う
参列者、気づいてるようで見ない振りを
しているように見える新婦黒木華。
もう映画に吸い込まれてました。
ホラー映画って紹介されてるけど、これは
ダークサイドのホームドラマです。(笑)
よく映画で幸せな家族のシーンがあるだろ?
イクメンなんて言葉が流行ってるだろ?
子育てブログとか最近流行ってるだろ?
でも裏側って実はこうなんだぞ現実見ろよ!
ってな具合に映画に教えてられてるよう(笑)
1部はそんな男目線の理想話と
少しずつ影を落とす「あれ」のお話。
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そんな裏側のいわば答え合わせがされて
いくのが黒木華さんが主役となる2部。
1部では家族を守ろうとする夫に焦点を
当てていた反面、外にはいい面をする
妻夫木君の家庭内、子育てへの参加などの
ダークサイドを見せ、それに付き合わされる
黒木華さんが段々と憔悴して、壊れていく
様子が描かれる。
1部の旦那目線から妻目線にシフト。
妻夫木君ってほんとにああいう外面だけが
良い内面クズイケメンやらせたら今の日本に
右に並ぶ人がいないくらいのハマりっぷり(笑)
そして少し前にシンプルフェイバーを観た
私に抜け目は無かった。
黒木華さんと、妻夫木君の親友青木崇高さんが
2人になった途端に、来るぞ!これは違う
意味で来るぞ!と思ったら案の定(笑)
ここで青木崇高さんの背中が映る場面が
あって、こいつもかよ!ってなるんだけど。
この映画、誰かに感情移入しようとしたら
そいつはクズでダメで。あ!こいつはまだ
まともなんだって思ったらそいつもダメで。
ほとんど誰にも感情移入できずに突き放される
事がおおいドS映画でした。
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そしていよいよ第3部。
今まで散々暴れてきた「あれ」と、
最強霊媒師松たか子のオカルトバトル。
ここはもう問答無用に楽しい(笑)
全国から、色んな流派の霊媒師たちが
東京に集まってくる所は燃える!
特に新幹線に乗ってた陰陽師のおじさま達が
不穏な空気を感じ取って別行動に切り替える
場面、「誰か1人は辿り着けるだろう」って
セリフを言うんだけど、さながら日本の
エクスペンダブルズって感じがして(笑)
あと度肝を抜かれるのが柴田理恵さんの熱演!
まさか柴田理恵さんをカッコイイと
思う日が来るなんて思ってもなかった!
大盛り上がりのお祓いシーンは正に荒唐無稽。
もうなんか、言いたいことはあるけど
これはこれで様式美みたいでいいやと
諦めさせてくれるぶっ飛び方で最高。
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ホラー映画?としてもオマージュ多くて、
例のマンションに到着する場面で、入口に
霧が立ち込めてるのはエクソシストっぽいし、
ラストの血のり祭りはシャイニングっぽいし。
あと描いてるテーマも、貞子VS伽椰子みたいな
ただただ荒唐無稽って訳でもなくて、
家族という地獄、本当に困っている人は
更に困るしかない日本のシステム、
子宮に沈める的な母親の地獄、そういう
日本の暗部がちゃんと描かれてる。
レビュー読んでて、幼少期の記憶が
よくわからないとか、毛虫は何かの
メタファーなのかみたいな指摘もあるけど
ホラー映画ってよくわからない、理不尽
だから怖いのであって、そこを明るく
しちゃうとそれこそ貞子VS伽椰子になる。
ホラーっていう皮を被った、ダークなホームドラマ。
血のりとか虫が苦手な人にはオススメしないけど、
いや、そんな人にも見てほしい!
オススメです!
さんぴん

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