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あの日のオルガンのmakoのレビュー・感想・評価

あの日のオルガン(2019年製作の映画)
4.1
1944年の東京。20代を中心とした若手保母たちが、国の決定を待たず、日本で初めて園児を連れての集団疎開を敢行した実話を映画化。原作は未読。 
こんな実話があったなんて知りませんでした。 

戦争中なので空襲警報が昼間でも鳴る環境で文化的教育はできない、そしてこれから空襲も多くなれば子どもたちを守られないと園ごと疎開させたいと発案した楓先生(戸田恵梨香)。まだ親に甘えたい盛の子どもたちを疎開させることに反対する保護者もいたが希望者を募り疎開する。 

今作では子どもの数は20人くらいにみえたけど、実際はそれ以上だったらしく、この疎開によって救われた子どもの数は53人だったそうです。 

空襲警報に怯えることなく、みっちゃん先生(大原櫻子)が弾くオルガンと子どもたちが歌う歌声は微笑ましかったです。 

まだ幼いのでおねしょをする子どももいたりして、保母さんたちは大変な苦労をされたと思う。 
自分の子どもでも大変でイラッとするのに、朝から晩まで数十人の子どもの世話をする保母さんたちには尊敬しかありません。 
おねしょする子どもを減らすために、夜中に起こしてトイレへ連れて行ったりと奮闘する保母さんたちの姿に頭が下がりました。 

そしてそんな穏やかな日々もなくなり、疎開先にも空襲警報が鳴り響くようになる。 

大変さばかりが強調されるような映画ではなかったので重くなく観ることができたけど、泣ける箇所がいくつもありました。 
クスッと笑える所もありました。 
みっちゃん先生が天真爛漫な人なので園児たちとのやりとりは微笑ましく観れました。 

ラストに今作のモデルになった保母さんたちと園児たちの様子が紹介され心が温かくなりました。 

楓先生役の戸田恵梨香さんはもうすっかり中堅の女優さんになられて、若手女優陣を引っ張っていました。
素敵な女優さんですね。劇中ではしっかりした主任保母を見事に演じていました。 
みっちゃん先生役の大原櫻子さんは天真爛漫で可愛らしいけど頼りなさげな先生を上手く演じていました。
健ちゃんと河原で話すシーンは胸が熱くなり、泣けました。 

他の若手女優陣、佐久間由衣さん、三浦透子さん、福地桃子さん、奥村佳恵さん、堀田真由さんらも演技に申し分なくハマっていました。 
脇を固める橋爪功さんもいい味出してました。 

普通の生活ができなくなる戦争を改めて知ることができ、この世から戦争がなくなってほしいと強く思いました。 

良作の映画で、多くの人に観てほしいと思いました。
観に行く方はハンカチは必須ですよ! 
私は泣くだろうと思ったからマスカラをつけずに行き正解でした笑 


今作に限らず、保母さん、学校の先生には尊敬の念しかありません。毎日、ありがとうございます。


劇場鑑賞 #16
2019 #29
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