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父の日/ファザーズ・デイのkuuのレビュー・感想・評価

父の日/ファザーズ・デイ(2016年製作の映画)
3.8
『父の日/ファザーズ・デイ』
原題 A Father's Day
製作年2016年。上映時間10分。
知っていた世界の廃墟の中で思いがけず娘と再会した父親は、たとえ自分たちがすでに死んでいたとしても、この日を特別なものにしようと決意する。

わずか約9分の短編だけど、製作者たちは驚くほど多くの感情を引き出している。
これは、今作品の巧みな映画作りと、ヘイゼル・ギブソンとガレス・マウンダースの素晴らしい演技の両方が証明している。
台詞がなくても、2人は父と娘という過去の関係を観客に納得させることができるし、これは2人の善き表情と動きによって達成されている。
この短編のもうひとつの秀逸な要素は、絶大な人気を誇るテレビ番組『ウォーキング・デッド』や『ワールド・ウォーZ』のようなハリウッドの大作によって、過去かなり人口密度が高くなったゾンビというジャンルに対するユニークなアプローチかな。
満員御礼のこのジャンルにおいて、主人公が生存者グループではなく、ゾンビそのものであるゾンビ・ストーリーは新鮮。
2013年に『ウォーム・ボディーズ』ってゾンビ目線のがあるが。
また、今作品の撮影監督サム・トワイマンのショット構成は実に巧く、あらゆる場面で感情を引き出すのに大いに役立っている。
この短編で最も効果的なショットのいくつかは、スローモーションが見事に使われており、印象的な特殊効果に目を奪われるのではなく、登場人物の生の感情を際立たせるために使われていた。
過去のゾンビブームの間で、いささか詰め込みすぎの感があるこのジャンルにおいて、今作品は、悲痛であると同時に美しい、素晴らしく破壊的な短編映画でした。
巧みな演技と見事な演出のすべてが相まって、この作品を見逃すことのできない非常に効果的な短編映画にしていました。
2013年製作の『カーゴ/Cargo』(上映時間7分)のショートムービーもあわせてサクッと泣けるゾンビ映画を!
ちなみに、『カーゴ/Cargo』は長編作品になってますし、今作品『父の日/ファザーズ・デイ』も長編作品になってほしいなぁ。
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