踊る猫

ラスト・ムービースターの踊る猫のレビュー・感想・評価

ラスト・ムービースター(2017年製作の映画)
4.4
何処かギクシャクしたところがある映画だな、と思う。老獪な映画スターの枯淡の境地を描くのか、それとも若い映画ファンの情熱を選ぶのか、ややメンヘラ気味の女の子が殻を破って一歩踏み出すまでを描くのか。もちろん「いや全部を狙ったのだ」とこの制作陣は答えそうだが、それならそれぞれのキャラクターが一筆書きで描かれているように感じられる。バート・レイノルズを知らない人にもウザくならない程度に魅力を披露するなり、あるいはインスタやYouTube世代の映画ファンの苦労話を描くなり、恋物語にツイストを加えるなりやりようはあったはず。その「もうひと押し」がないのであっさり終わり過ぎているように感じられてならないのだ。とは言えバート・レイノルズが感動の再会を果たす場面の迫力は並ならぬものがあり、俳優陣に恵まれたが故にこの映画はかなりポイントを稼いでいる。裏返せば、カメラを回すまでに行うべき脚本や演出の下ごしらえが足りないような。
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