エイガスキー

ヘレディタリー/継承のエイガスキーのレビュー・感想・評価

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)
3.0
自分は恋愛ものと余命もの、ホラーは絶対に見ないようにしている。
恋愛ものと余命ものは(個人的に)毒にも薬にもならないようなものばかりでくだらないと思っているから。
ホラーは見た後怖くて夜眠れなくなるから。
そんな誓いがあるにもかかわらず、だ。
「今世紀最高のホラー」とか言われたら見ないわけにはいかないでしょう。
幸い和製ホラーじゃない。
和製ホラーはどんなに出来がいいと言われても絶対に見ない。
なぜなら和製ホラーの奴らは個別に攻撃してくるからだ。
あれは卑怯だ。
日本において幽霊等の怪現象に対して「集団での目撃談」がないのは、つまりそういうことなのだ。

まずこれはジャンル的にホラーなのだろうか……?
ラストシーンからエンディングロールまで、頭の理解が追い付かずにポカーンとなってしまった。
例えるなら壮大なドッキリを見せられていたような、そんな感じ。
怖いことは怖い。
それも壁から手がドーン!みたいなわかりやすい、幼稚な怖さではなく、心音とリンクさせたようなドクンドクンという効果音からの静寂、衝撃。
音を上手く使った緩急でビビらせてくる。
そうすると、なんでもないシーンでも何か嫌な感じがして、目を凝らしたり背後が気になったりしてくる。
それが最後まで続いて、いよいよもう終わりだ……となったときに不意に訪れる、なんともいえない何か。
え……どういうこと……?こわ……
となる。

ホラー度でいえば『あなたの知らない世界』や『ほんとうにあった怖い話』のほうがずっと怖い。
この映画には、本当に何と言ったらよいのかわからない、受け入れられない気持ち悪さがあった。
見る角度を変えればサスペンスにもミステリーにもなる。
ああっ!そういうことかっ!あいつっ!といった、怖さを紛らわすためのちょっとした要素が逆にありがたかった。