エイガスキー

ヒトラーのための虐殺会議のエイガスキーのレビュー・感想・評価

ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)
3.0
一番最後に若干ネタバレあります。

ヨーロッパ、特に東ヨーロッパに住むユダヤ人を「最終的解決」するための会議が開かれた。
その中ではいかに迅速に、いかに効率的に、そして"ドイツ人兵士に対して"いかに人道的に特別処理を行なうかの会議が粛々と行われた。実話モノ。

まず今の時代にこの映画を制作した人、出演した人は良くも悪くもどういう神経してんだろうと思った。
日本では洪水の描写にも気を使う昨今、こんな内容の映画を作れることに敬意と嫌悪を評する。

作り的にはドイツ高官の別荘を舞台にしたとても狭い範囲での会話劇で、『十二人の怒れる男』と同じ構成。
とても難解な内容の会話劇なので吹き替えで見たかったが存在しないのかな。
少なくとも自分が見た媒体には吹き替え版がなかった。

ユダヤ人に対する最終的解決、まあ言い換えをやめれば虐殺をどうするのかを話し合っていて、死体をどうするだの混血はどうするだのとおよそ同じ人間に対するそれではなく、会話の中ではアウシュヴィッツやらガスやらといったおなじみの単語も登場して、あの大事件がこんなふうに決められていったのかと戦慄する。

自分はそこまで強い思想は持っておらず、昨今の強すぎる様々な権利の主張には嫌気がさしている方だが、これに関しては強く「ノー」を提示したい。
そういうことを考える一つのツールとして、この映画の価値は高いと思った。

ラスト、会議が終わりエンドロールが流れた時、この映画の異質さにハッとする。

BGMが一切無かった。