エイガスキー

BLUE GIANTのエイガスキーのレビュー・感想・評価

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
4.0
のちに世界最高のジャズサックスプレーヤーになる男の物語。
原作の、上京してから日本最高峰のジャズライブハウスで演奏するまでを切り取った上京立志編といったところ。

映画館で見たいと思っていたが結局見れなかった。
やっと見れたって感じ。

ジャズを語る時に何が難しいかって、説明できないところである。
よくジャズは「自由な音楽」と言われるが、ブルーノートスケールやコード進行、あえて不協和音を出すテクニック等最低限の「作法」は存在する。
その作法さえしっかりしていればあとは演奏者の自由でそこがジャズの面白さだがその面白さの説明ができない。
クラシックなら正確性、ロックならメッセージ性で善し悪しが判断されるが、ジャズは絶対的な判断基準がなく感覚的なものなので、善し悪しは人それぞれ。
だからジャズを題材にした物語はとても感覚的で、良さを説明するときも「なんか良い」と言われがちである。

この作品もその例にもれず、ジャズの良さを語るシーンでは「なんか良い」「なんかかっこいい」「なんか違う」ととても感覚的な説明で、一歩踏み込んだ説明をする人も「強い」「努力を感じる」「人をバカにしている」と、人物像に例えて説明しており、やっぱりジャズを語るのって難しいんだなーと思った。

ただそんな感覚的な音楽だからこそ映像がついた時の良さ、面白さは絶大で、その映像表現がぶっ飛んでいればぶっ飛んでいる分だけ衝撃は凄まじい。
この作品のジャズの表現映像はとても良かった。

もしこの作品でジャズに興味を持った人がいて、自分でジャズを聴いてみたら「なんか違う」と思ったら、それは聞いている環境(機材)が良くないはず。
ジャズはクラシックと同じくらい視聴環境に影響される音楽なので、圧縮された音源をスマホで聞くなんてことはせず、最低でもCDレベルの音源を20万くらいのシステムで聞いてほしい。
でもそんな無理できないって人が大半だろうから、この作品に出てきた「TAKE TWO」のようなジャズ喫茶、ジャズバーを見つけてそこでジャズに触れてほしい。

何か音楽、なんでもいい、クラシックでも演歌でもロックでもアニソンでもなんでもいいから、何か音楽を聞いている時に指先や足先、体の筋肉のどこかが音楽に合わせてリズムを刻んでいたらそれは立派に「ジャズやっている」である!