エイガスキー

かがみの孤城のエイガスキーのネタバレレビュー・内容・結末

かがみの孤城(2022年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

不登校の中学生・こころが鏡に吸い込まれ、吸い込まれた先には自分と同じ境遇、同い年くらいの6人の少年少女がいて、オオカミの仮面をかぶった幼女のオオカミサマが現れて「この孤城に隠されたカギを見つけ出した人は願いが叶う」と言い放つ。鏡を通して元の世界と自由に行き来できるが、孤城が開くのは日本時間で9時から17時まで。公務員か。そして7人の少年少女は選択を迫られる。

まずこういう物語で登場人物にさせなくてはならないのが、時間・重力・場所を割り出すこと。
時間は自分の元居た世界からこちらの世界に何度か行き来して、機械式時計は狂わないか、時間の進み方は元の世界と同じかを検証する。
次に物の落ちる時間を計って重力が同じかを計測する。
場所は現代ならGPSがあるし、GPSが使えなければ星の位置から大体の場所を割りだす。星が無ければそれはもうその場所は地球のどこかではないことがわかる。
これで初めて視聴者に対等の情報を提供することになり、逆にこれのどれかを怠っていればそれは作者によって意図的に隠されていることになり、イコール物語の解答になるわけである。

この物語では全てが伏せられており、視聴者と作者が対等の立場とは言えず、さらに登場人物全員作者によってIQを下げられているため、見ている側は茶番を見せられているような気分になる。
孤城にはテレビが無いこと、電気がないことがセリフで示されるが、このぐらいの年代の子供が雑談で昨日見たテレビや発売された雑誌、漫画、ゲームの話を一切しないってのはさすがに不自然。
そして誰も携帯電話やスマホのようなデバイスを持っていないのも不自然。
一人携帯ゲーム機を持ち込んでいる子がいるが、他の人には「ゲームに疎いから」で無視されてるのがヒドイ。普通はそんなゲーム機が世の中に出回っていなければ驚くし、古い機種なら「懐かしいねそれ」から話が膨らむでしょ。
そういう不自然なものが序盤で一瞬で積み重なるため、ああそういうことかと、慣れている人ならわりと早めに気づく。
そこからはみんなで示し合わせたかのように「時間」について一切触れないので、茶番感が増す。

また、とある女の子が家で男に襲われるが、その場から逃げ出せたならまずは外に出るのが当たり前の行動じゃないのか?何かの理由でそれができず電話にたどり着いたなら真っ先に警察に通報じゃないか?なに悠長に彼氏のポケベルにメッセージ送信してるんだ。いや、わかるよ?このシーンでポケベルの印象付けとこの女の子のトラウマを描くっていう一石二鳥を狙ったんだろうけど、流石にIQ下げすぎだぞと思った。

ラストの煽り「すべてがあかされた時、想像を超える奇跡」がうんたらかんたらとあるが、全部想像通りだった。
最後の願いが「やっぱり今までの全部なーし!」というリセットボタンを押すような感覚が今時だなあと感じた。

あとは不登校になった原因が割と事件性の高いものが多く、それはさすがに現実世界で法で裁きなさいよ・・・と思った。

でもまあ元は児童文学みたいだし、ターゲットが小中学生っていうなら上記のことは野暮ってものであり、大人の出る幕ではない。

効果音は素晴らしかった。

『真実はいつも一つ!・・・とは限らない!』