ゲイリーゲイリー

ヘレディタリー/継承のゲイリーゲイリーのレビュー・感想・評価

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)
3.5
「悪魔は細部に宿る」という言葉を想起させるほど至る所に伏線が散りばめられており、ホラーとしての完成度は勿論のこと2度目以降の鑑賞も楽しめる作品となっている。

昨今のホラー映画といえば「ゲット・アウト」や「ドント・ブリース」等の、正統派ホラーとは一味違った他ジャンルを組み込んだホラー作品が多く見受けられる。
そういった作品も面白いのだが、本作の魅力は何といっても直球ど真ん中の正統派ホラー作品であることだろう。

急に大きな音でビックリさせるような演出を用いることなく、嫌な緊張感と不穏な雰囲気を持続させジワジワと観客を恐怖へと貶める手法は見事。
個人的にお気に入りなのが、チャーリーの舌を鳴らすコッという音。
(作品観賞後あの音が脳裏にこびりついて、映画館の帰り道怖かった‥)

ホラー作品であると同時に家族の崩壊をも描いた悲劇でもある本作。
家族の崩壊に伴う痛ましさや、やるせなさも本作の魅力であろう。

ホラー作品に登場する霊であれ悪魔であれ、それと戦うようなホラーエンタメ的要素を含む作品よりも、個人的には本作のように為す術なく恐怖のどん底へと落ちていく作品の方がホラーとして好みである。
今後のアリ・アスター監督の作品が非常に楽しみ。
(2作目のミッド・サマーよりも本作の方が好みだった。)