のん

ヘレディタリー/継承ののんのレビュー・感想・評価

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)
4.4
地獄の扉よ 開け


『ヘレディタリー 継承』は、『エクソシスト』や「オーメン』といった系譜につながる、近年のホラー映画の流行とはまた違う古典的だけど新しい不思議な映画だ。



心臓のビート音がじりじりと響く不穏なBGMと、謎だらけの映像。そして近づく恐怖の瞬間。ただビックリさせるこけおどしのホラー映画とは全く異なるアプローチで観客を追い込んでいく。



これが、長編デビュー作だというアリー・アスター監督は映像的な見せ場も巧みだが、何よりも脚本の完成度が高い。


物語の語り手が繰り返し変わり、さらに疑心暗鬼を植え付けていくことで、観客に先の展開を読ませない。天才的なセンスと思う。



この映画の何よりの恐怖ポイントは悲劇に見舞われた家族の崩壊が、とてつもなくリアルで居心地が悪い点。『ワイルドスピード』に代表される田舎のヤンキー的な「ファミリー」幻想を完膚なきまでに打ち砕くことで、逆説的に家族のあり方を問うているように感じた。



劇中に張り巡らされた伏線を鮮やかに回収していく怒涛の後半は、トラウマ級の恐怖を観る者に残す。






コッ
のん

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