ぼくは世界について学んで、昨日の自分よりえらくなる
「おねショタ」「おっぱい」とやたら騒ぐ人と「性的搾取」だなんだと主張する人がいるため、まずはその点を整理したい。
まず本作を観賞して「おねショタ」「おっぱい」を過剰に連呼している人。
わかります。ええ。
0点です。
作品の表層だけに触れて映画の本質をすっぽり見落としてると思われますので、あと100回は本作を観てください。
次に「性的搾取である」「オタクのユートピア」と主張する人たち。
本当に本作を観たのでしょうか？
アオヤマ少年とお姉さんの関係性に性的な匂いを見出したのならば、それは受け取り手の問題でしょう。
「おっぱい」が物語の１つの重要な要素であることは確かですが、それを「性的搾取」であると断罪するのは前段の「おっぱい」を連呼する人と何ら主張として変わらない。
そうした表面的な誤解を解いたうえで、本作を見れば、これはもう優れたSFアニメーションであり、ジュブナイルものの傑作だろうと思う。
まずもって極めて作画が美しい。今どきの邦画アニメでは珍しいシネスコ画角で、どこかノスタルジックな雰囲気を漂わせる映像の質感。
個人的には（作画が）ジブリにしか見えない「メアリと魔女の花」よりも精神的な部分でジブリに近いものを感じた。
そう思わせるのが、本作の主人公アオヤマ君が成長していく過程が、宮崎駿のアニメにおける少女が成長していく過程にそっくりだからである。
賢くて真面目でちょっと大人びたアオヤマ君が、歯医者のお姉さん、そしてクラスメイトとの交流を経て成長するひと夏の冒険。
日常的な空間の延長に非日常が地続きである点では藤子F作品の影響下にもある気がした。いじめっ子の鈴木くんのキャラ造形なんかまさに藤子作品のそれだよね。
原作は何年も前に一度読んだが、内容が全く思い出せないまま鑑賞していたが、最後の「この道は〜」の台詞は原作にもあったことをはっきりと思い出した。
ひょっとすると『未来のミライ』を押しのけて今年のアニメ賞を総なめにするかも。とにかく傑作。
