タスマニア

母さんがどんなに僕を嫌いでものタスマニアのレビュー・感想・評価

5.0
強烈。

吉田羊が演じる母親といえば「ビリギャル」「恋は雨上がりのように」と、良い母親が多かったので、その吉田羊が所謂"毒親"を演じる。
そして、太賀という注目の俳優がその息子を演じる。
その上にこの強烈なタイトル。それだけで心を掴まれてしまい、原作や前情報ほとんど無しで見ることに。

そして、抱いた「強烈」という感想。

やはり吉田羊の演技が強烈で、自分には新鮮に映った。
至る所で様々なシーンで"母親"を演じる彼女だけど、そのどの"母親"像にも当てはまらない光子を演じる吉田羊は凄まじい。
「あんたなんか産まなければよかった」と嗚咽のような声で叫ぶところなんか、思わず震えてしまった。
幼いタイジを蹴り飛ばす姿もバドミントンのラケットで何度も殴る姿も普段の演技からは想像ができない。少し吉田羊の演じる女性に理想を重ねすぎている自分もいたかもしれない笑

そして、タイジを演じる太賀。
無垢で幼げなその顔つきから怒り・悲しみ・溢れる愛情の表情がとても豊かで、混ぜご飯を二人で食べる最後のシーンなんかはボロボロ泣かされたわ。

家族と向き合うというのはとても難しい。
それは自分にも、とても身に覚えがあり、それ故この映画がかなり刺さったのだけど。
そして、タイジが出会う根明でキラキラしたキミツ、大将、カナの関わり方が、根暗で自分の中に世界を作って悲劇のヒーローになりたがる人間にはとても気持ち悪く居心地悪く映る。
「相手を変えたいのならば、まず自分から」といった類の言葉を言っていて、とてもいい言葉だなーと思いそうになる。
しかし、「そもそも自分で選べない母親に理解してもらうために自分が変わるように諭されるのだろうか。母親って無償の愛じゃないのか」って思ってしまう。
ただ一方で「所詮そうじゃない外部の人間の言い分なんだ」という現実でもよく遭遇する結論と合致していて、却って当事者は自分を追い込み孤独になってしまうんだなーと勝手に納得していた。途中までは。

海辺のキラキラを押し付けられるシーンからだいぶ後、キミツが先ほどの見解に近いことをとてもフラットな目線で述べるセリフがあって、そこにハッとさせられるところがあった。
そして、こういう友達や仲間っていいなぁって思った。いや思ってしまった。
というかそれが自分の人生のテーマの1つで必要なのだと勝手に感情移入したので、こんなに評価高めに設定したのだけども。

なんだかんだ色々考えて反論や納得できないことも正直あるのだけども、
全体的に涙が止まらなくてボロボロ泣かされたし、これ多分自分にとってかなり重要で大切な映画なんだと思う。
とりあえず2018年個人的ベストムービーで。
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