てつこてつ

クレアのカメラのてつこてつのレビュー・感想・評価

クレアのカメラ(2017年製作の映画)
3.5
ルイ・マル監督作品「五月のミル」の後に続けて見ると、やはり、ホン・サンス監督作品ってフランス映画のテイストに凄く近いと実感する。

まあ、本作は「アバンチュールはパリで」に続いての、ほぼ全編フランスロケ、また、「3人のアンヌ」に引き続きイザベル・ユペールをキム・ミニとのWヒロインに迎えている事も、そう感じさせる大きな要因だけどね。

ストーリー的には、ホン・サンス監督にしては比較的分かりやすく、起承転結がある内容。

監督自身の姿を投影したような女性にだらしない自己中映画監督を毎回登場させるのは自虐ネタとしての開き直り具合は気持ちいいくらい。

キム・ミニがやはり美しい。この女優さん、どちらかと言うと「お嬢さん」のような妖艶さ漂う役どころがハマり、そのスタイルの良さからも、どちらかと言うと男を虜にするような魔性の美の持ち主だと感じているのだが、ホン・サンス監督作品に出演する彼女は、美しさだけでなく、純粋さ、可愛らしさもしっかり引き出されていて、どれだけ監督が彼女を愛おしく大切に思っているのかがハッキリと伝わってくる。エンディングカットも最高。

イザベル・ユペールもストーリーの狂言回し的な役どころながら、「ピアニスト」や「ELLE」などで見せる狂気なまでの熱演ぶりとは打って変わって力が抜けた淡々とした演技やファッションが実に可愛い。

ホン・サンス監督は好き嫌いがハッキリ分かれるだろうし、韓国映画初心者の方には絶対お勧めしないが、自分にとっては力を抜いて楽しめる箸休め的な作風が合っていて、数年おきにリピートしたくなるほど中毒性がある。

舞台となっているカンヌは、自分も10年以上前に行ったことがあるが、カンヌ映画祭開催期間ではないカンヌって、本作で描かれているようにビックリするほど華さかさも人もいない、ただのリゾート地って感じた事をいまだに思い出す。
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