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ワイルドリング 変身する少女のkuuのレビュー・感想・評価

3.3
『ワイルドリング』
原題 Wildling.
製作年 2018年。上映時間 93分。
呪われた血族の末裔として生まれた少女の哀しき宿命を描いた青春モンスタースリラー。
16歳のアナを『マイ・プレシャス・リスト』のベル・パウリー(彼女は、ベジタリアンであるにもかかわらず、映画中のさまざまなシーンでソーセージやハンバーガーを食べてました。)、保安官エレンを『アルマゲドン』のリブ・タイラーが演じる。
WOWOWやと『ワイルドリング 覚醒する少女』のタイトルで放映。

森の一軒家に住む少女アナは、一緒に暮らす男ダディから、外に出ると人間を食べる野獣『ワイルドリング』に襲われると云い聞かされ、部屋から一歩も外に出ることなく育つ。
アナが16歳の時にダディが自殺を図り、彼女は女性保安官エレンに保護される。 
初めて普通の暮らしを送るアナだったが、次第に彼女の肉体に異様な変化が起こり始め。。。

今作品は、隔離された環境で育った女子が文明に直面したときに対処することを余儀なくされるという物語を描いたモンでした。
ただ、最初で唯一の映画とは云い難い。
どっかで見たか、読んだかした内容。
また、その前提をよりファンタジックな方向に持っていった最初で唯一の映画でもないかな。
しかし、この点が他の作品と類似していようとも、楽しみやこの作品の価値を無意味に低下させることはない。
今作品は映画的な必需品ではないが、個人的には悪くはなかった。
いじめ、友人、自分自身、社会、そしてより大きな世界について学ぶちゅう、おなじみのシーンがたくさんあり、そのインパクトや厄介さは変わらない。
血とダーク・ファンタジーのタッチ、控えめなスリルとちょっとした感情の重みが加わり、しっかりした脚本が具体的に実現されている。
セットデザインと装飾がストーリーの細部を丸め、幅広い優れた効果、メイクアップ(個人的には笑ったが)、編集が緊張、サスペンス、全般的なムードを伝えるのに大いに貢献している。
完璧とは云いがたいがオモロかった。
今作品で最初に目についたのはキャスト。
『ロード・オブ・ザ・リング』の共演者であるブラッド・ドゥーリフとリヴ・タイラーが重要な役柄でトップバッターを務めており、2人とも自分のキャラを完全に体現する機会は与えられていないようやけど、その姿を見るのは嬉しいものでした。
脚本上もっと自由を与えられているのは、主人公アナを演じる女優たち。
特にベル・パウリーは、肉体的な負担が大きく、製作のために毎日かなりの時間をかけて準備したはずで、共演者に与えられたキャラ設定をはるかに超える幅とニュアンスが要求されるからです。
また、若い頃のアンナを演じたアヴィバ・ウィニックとアーロ・マーツも、パウリーの中心的な役柄をかすかに反映したにすぎないが、立派に演じてた。
視覚効果の中には、説得力に欠けるものもあった。
ドゥーリフ、タイラー、その他のキャストは、映画の中では間違いなく二番手に追いやられており、脚本が彼らにキャラ形成の面であまり仕事を与えていない。
しかし、今作品の最大の欠点は、テンポと一般的なプロット展開の間に、どこか不完全さを感じてしまう。
あくまでも推測やけど、予算の関係で、ストーリーにどれだけの肉付けができるかが制限されたのだと思うけど、残念ながら、それはある程度まで現れている。
役柄の書き方だけでなく、多くの物語があまりにも早く終わってしまい、それぞれの物語が現れ、呼吸し、解決するための空間が与えられていないように感じられる。
この93分間で物語は最初から最後まで語られるが、もしシーンに相応の時間が与えられていたなら、今作品は実際には10~15分長くなっていたかもしれない。
そのため、少し物足りなさを感じてしまった。
それでも、今作品は注意をよく惹き付けた。
最終的に欠点がないわけではないけど、それでも製作の経緯を読むと印象的かな。
キャストとスタッフが苦労した割には、今作品は実際、予想よりずっと良い出来栄えといえるんかな。
テーマとなる内容は、全体としてやや急いだ演出や物語展開の中に埋もれてしまっているが、その中には検討に値する確かなアイディアが含まれてたし。
製作者たちに、この作品を完成させるチャンスがもっとあればと思う。
強烈な暴力、控えめなヌード、そしてホラー・ジャンルの現在の要素が、この作品を万人向けではないものにしている。
悪くない作品やけど、もっといい作品になりえたかもしれない。
しかし、最終的には、一過性の馴染みと顕著な問題や限界があったかな。
ただ、個人的きは惹き付けられたし、楽しませるのに十分な文章力と実現力がった。
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