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騙し絵の牙のkoyaのレビュー・感想・評価

騙し絵の牙(2021年製作の映画)
4.0
騙す、という言葉があるので、詐欺とか『スティング』のようなコン・ゲームを勝手に想像していたのですが、映画は出版業界、企業物かなと思いました。

経営の苦しい出版会社の中でも弱小雑誌をどう立ち直し、売れ行きを伸ばすか、のアイディア合戦と社内の派閥争いで、そこに策略という事が出てくる訳です。

凡庸なアイディアは出し尽くされたので、いかに斬新な切り口を持ってくるか、そこら辺は大泉洋演じる速水という男は、守りに入らず攻めていきますね。そこで失敗してもそれを逆にプラスに変えるしたたかさを持っている。

騙すというより、出てくる人が皆、したたかなんです。
したたか合戦。
社内の派閥争いは『白い巨塔』のよう。

「利用したんですね?」と言われて「利用したよ。どんどん利用しなきゃ」と言う開き直りはさすがに大泉洋という人が本来持っている「したたかさ」とだぶるような気もします。

映画はやはり文学はすたれないで欲しい、というメッセージが含まれているようでした。
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