踊る猫

ビリーブ 未来への大逆転の踊る猫のレビュー・感想・評価

ビリーブ 未来への大逆転(2018年製作の映画)
4.5
人間に備わっている可能性とはなんだろう、と(柄にもなく)考えてしまった。それは必然的に開花するものなのか、逆境がそうさせるのか……女性というだけで一段低く見られざるをえなかった時代、ルースは自身の天才性を発揮し、なおかつ不屈の闘志を以て(そこに更に努力を上乗せして)立ち向かった。最初は「どうしてこんなに戦うのだろう」と、動機が描かれないところが不満に思えた。「女性だから」というだけの理由だろうか、と。だが、彼女が母親と議論を交わしていたことが明らかになり、なおかつ彼女が娘と対立しながらも娘にスピリットを授けたことが判明する場面でわかったように思った。親から受け継いだものを子に託し、子の世代がより住みよいように世界を、そして法律を変える。最後の弁論で見せたルースの希望に落涙する思いだった。彼女は自身の意見を通して、判事たちや世の人間たち(つまり彼女が弁護したい全ての人たち)に、「変わること」を伝えたかったのだ。恐れず、変わっていく。その過程で、自分らしく生きられる環境へと適応してこそ自身の可能性は発揮される、と。その果ての勝利だった……というのは穿ち過ぎかもしれないが。
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