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ジュディ 虹の彼方にのNMのネタバレレビュー・内容・結末

ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

成功の裏で辛い人生を送った人。見ていてつらい。
その分ラストは感動。
主演のゼルウィガーが全て吹き替えなしで歌唱しているのも見どころ。

ジュディ・ガーランドは子役時代、厳しいプロデューサーやステージママのもと、オズの魔法使いのドロシー役として大人気となった。
しかしその実すべての行動が制限され人間扱いされない子ども時代だった。
友達とも遊べない、好きなものを食べられず痩せ薬(現在の覚醒剤)しかもらえない、毎日稽古、そのまま一人で稽古場で寝泊まり、不眠、と激しいストレスと付き合ってきた。

今は愛する子供が二人いるものの、離婚して家もなく親子三人でギリギリのその日暮らし。各地をまわって子どもたちと小さなステージをして日銭を稼いでいた。
睡眠薬が手放せないが子どもたちのために必死で頑張っている。本来なら子どもたちをステージや芸能界に関わらせたくない。
ジュディはその半生から温かい家庭が欲しいという思いが人一倍。しかし蓄積し続けるストレスと、相手を信用し許し合うのが苦手な様子でそれが彼女の夢を邪魔している。

借金で首が回らず、ついに愛しい子供たちを元夫シド宅へ預け断腸の思いで単身ロンドンへ。
打って変わってロンドンでは未だ大人気。
早速大会場でバンドを従えリサイタル。豪華なホテルとマネージャーもついた。

内心緊張して自信もないが、それを人に見せられない性格。
だがいざステージに立つと見事やりきった。
れでも全く自信を持てない。成功したのは今日だけ、次は失敗するのでは。
また眠れず鬱々とした日々。
その結果遅刻が多く、待たされて怒った客に逆ギレし罵倒仕返したこともあった。これではショーもいつクビになるかわからない。

才能があり人前に出る仕事であるにも関わらず自分に自信がないという辛さはいかばかりか。スパイラルにハマっていてこのままでは幸せになれそうにない。

アメリカから親しいプロデューサーであるミッキーが駆けつけ、そのままホテルに同居するようになった。
良い話があるから、ショー生活から抜け出し借金を返してアメリカで家を買い子どもたちと暮らすんだ、と応援してくれた。

希望を持ったジュディは仕事も頑張り、やがてミッキーに結婚したいというと、一瞬たじろいだが承諾してくれた。

再婚のニュースを見た元夫シドがジュディを訪ねてきた。今まで弁護士を通してきたが、直接説得しに来たのだ。
子どもたちはもう土地に慣れ父とずっとここに住みたいと希望している、と伝える。
ショックを受け嘘つき呼ばわりし罵倒して立ち去るジュディ。
子どもたちのために努力しているつもりだったが、その目標は独りよがりだった。

ホテルへ戻ると、ミッキーが商談から戻っていた。
先方は以前ジュディがショーを遅刻し客を罵倒したことを知っており、契約を拒否されたと伝える。
ジュディは、約束したのにと怒りこれまでのミッキーの仕事ぶりを完全否定。
ジュディのために尽くしてきたのに否定され、出ていくミッキー。

ショーの時間。酒と薬を飲み遅刻して登場。ヤケになり歌い出すが倒れてしまう。
今までになくブーイング。今回はさすがにショーは中止となった。もう支配人も許してくれない。いつもボロボロなのでこんなときでも観客は容赦してくれないようだ。

夜の街を一人彷徨い、電話ボックスを見つけすがる思いで子どもたちに電話をかける。
幼い娘はますます大人びていて冷静に母を気遣っていた。
ジュディがシドに言われたことを確かめると、ここに落ち着きたい、弟も同じ考えだ、と告白した。
ここじゃなくママと暮らしたいと言ってくれるかと思ったがそうはならなかった。夢だった子どもたちを呼べる算段も今は水泡に帰した。
最後の支えである子どもたちにすら完全に距離ができてしまい、居場所もなく世界に一人きりになったよう。

ジュディはクビになったあと、最後に客としてショーを観に出かけた。
出演はいつも代役として控えていたロニーに変更になっていた。
舞台裏でロニーに合い励ましの言葉をかけ、一瞬迷ったものの、一曲だけ歌わせてくれないかとつい頼んだ。
するとロニーは微笑み、ジュディのチケットを買った客だからと舞台に出してくれた。

拍手とブーイングの混じるなか歌い出すと、客は大盛りあがり。
ずっと見守ってきたマネージャーは、ついに火がついた、と嬉しそう。
曲間のトークで、成功することではなく歩いていくことが大切だと思うと語るジュディ。
全ての思いを込めてオーバー・ザ・レインボーを歌う。
しかし感極まったジュディは途中で歌えなくなってしまった。するとジュディがずっと信じてきた奇跡が起きた。
彼女がやってきたことは決して全てが無駄ではなく、目には見えづらいがたくさんの人に届いていた。
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