うっちー

ジュディ 虹の彼方にのうっちーのレビュー・感想・評価

ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)
3.5
 泣けるところもあるし、何よりレネーの熱演と身体含めての役作り、そしてなんていってもあの歌いっぷり。唸るところが多いのだけど、なんだろう、このあまりにベーシックで工夫や盛り上がりのない展開は。また、私も含めジュディ・ガーランドの全盛期を知らない、もっと若い世代には、その頃のいきいきとした舞台での姿を、せめてワンコーラスでも入れなければ、彼女がどれほど人気者だったのか、また輝いていたのかがわかりにくい。マネージャーや映画会社社長にしばかれていたり、不眠症になっていたり、反抗したりといった陰のジュディばかり見せられても。陽があるから陰がある、のだから。疲れた中年のジュディの合間に、辛い少女時代。構成が悪すぎやしませんか。

 また、欧米では未だにLGBTアイコンとして、パレードのレインボーカラーのヒントになり、ゲイやレズビアンたちからリスペクトを送られる存在のジュディ。そんな極めていま的なエピソードを活かしきれてない感が凄い。ロンドンで憂き目にあってきた中年のゲイカップルとのエピソードは素敵で、彼らを励ますシーンでは涙がちょちょぎれるけれど、なんだか人情話化されてしまったようで、それだけではもったいない‼️ 彼女がどんな思いからゲイやレズビアンの人たちをサポートするようになったか、また、それが彼女のどんな面から発露したものなのか、それがまだ現代にも生きているとか、そんな要素をくわえられなかったのかと、なんだか口惜しい思いがある。

 とはいえ、晩年の彼女の輝きを正しく伝える作品だとは思うし、嫌な点は全くない。あと、レネー・ゼルウィガー様、オスカー受賞、おめでとうございます!とは言いたい。
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