さうすぽー

ブラック・クランズマンのさうすぽーのレビュー・感想・評価

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)
4.2
自己満足度 82点

―何がアメリカン・ファーストだよ!
こんな事のために言ってんならクソ食らえだ!
この映画を撮った監督からそう聞こえてきた気がします。

今年度のアカデミー賞ノミネート作品。
そして、カンヌ国際映画祭で「万引き家族」には負けたものの審査員グランプリを獲得したスパイク・リー監督作!

この映画を観た直後、Twitterの方で自分はこうツイートしました
「これを観てしまうと、グリーンブックが生ぬるく感じてしまう」と、

もちろん「グリーンブック」は二人の友情物語としては良い作品なのですが、この「ブラッククランズマン」で描かれたものと比べると人種差別の描写が薄く感じました。
今作はもっとその部分を根深くブラッキーに描かれていて、観ていて絶句もしたし虚しさも感じました。
それと同時にいろいろな事を考えさせられました。

しかし、この映画のメインは潜入捜査の物語であり、ノンフィクションでもあります。
ユーモアな部分もあり、面白い作品となっています。

実在の黒人警官(デンゼル・ワシントンの息子)が白人至上主義の「KKK」という団体に潜入するという計画を立て、黒人警官が電話で応対し、同じ部署の白人警官(アダム・ドライバー)が実際に潜入するというもので、二人で奔走する話です。
よくこんな事を考えたものですよ、全く(笑)

アダム・ドライバーにもある秘密があって、それが理由で「KKK」のチーム長に何度も詰め寄られるので、その攻防戦は結構ハラハラして面白かったです。

また、黒人警官は電話で白人警官を演じないといけないので、白人の言い方で「KKK」に応対します。
アメリカにも日本みたいに方言があることは知ってはいましたが、白人と黒人との間でかなり細かい発音の違いがあるとは思ってなかったです。
そうやって色々と細かい所まで描かれていたので、捜査のシーンはリアルに感じました。

一応この映画は白人至上主義を取り締まる話ではありますが、黒人の方にも視点があります。
黒人解放運動と称してる活動も、集まる目的は理解出来ますが、実態は首を傾げる事もするものです。
劇中ではそれを顕著に映し出される場面があるのですが、「ブラックパワー」というのも「ホワイトパワー(白人至上主義)」とあまり変わらないなと感じました。
そういった対比させた描き方は非常に興味深いです。

細かい所ですが一つ気になったのは、
あるシーンで場面の移り変わりの前から銃の音を入れる所があって、そこから数秒たって銃の練習場所に切り替わりました。
一発入れてすぐに銃のトレーニングの場面に切り替わるのならわかるのですが、3,4発くらい入れて切り替わったので、銃撃戦が始まったのかと勘違いしてしまいました。
そこがあまり好きじゃなくて、結構気になりました。

ですが、想像以上に素晴らしい作品でした!
公開から一ヶ月待って観た甲斐がありました!
結構満席が続いてたのですが、首を長くして待って良かったです!