これだから映画鑑賞はやめられない
こういう作品に出会えるから劇場に足を運ぶんだな
とても刺激的な構成と、その構成を上手く利用した演出が光る怪作、本当に素晴らしかった
まず冒頭の「This is not based on real story」(←ちがってたら恥ずかしい…)からの「This is real story」という字幕
これだけで「んん?」と食いついてしまった
そこから実在の人物のインタビューと再現ドラマが入り交じって行く訳だが、この「入り交じり方」が本当に上手い
人によって話の食い違う当時の出来事を「そのまま」再現ドラマにしたり、ふとドラマと現実が交差したりするんだが、それ自体はちょっとした斬新で粋な演出として成立させつつ、最後に明かされる「彼らのその後」や「かもしれないもうひとつの真実」の伏線になっている
ここが本当に上手い
当然そこに至るまでの展開も素晴らしく、何かしらの特別な出来事を待ちわびてる鬱屈した学生生活から脱することが出来るようなチャンスが、なし崩し的に現実味を帯びてしまい、「一線を渡ってしまう」、そしてその後の顛末まで…
とあるアクシデントから一旦ひと段落した直後は緊張感も途切れてダレる部分はあったが、直ぐにまたエンジンを掛けてくれた
一番よかったのはドラマ上での彼らが結末を迎えるシーン
あそこで思ったのは「青春の終わり」
確かに本人が語るように、この冒険にはなんの価値もないし、決して認められるものでは無い悪行ではあるし、実際それまで爽快感すらあった彼らの物語は、ある時点から重く淀みだすが、だがそれでも彼らがこの退屈な人生から脱却しようと足掻き、時には笑顔を交わしていた姿は紛れもなく青春だ
その青春が当然の成り行きで終わっていく…
なんとも言えない感情が湧いてくる
あのばあさんには悪いが、誰かを傷つけていなければこの物語は成立しなかったと思う
酷いことをした、一線を超えてしまった恐ろしさを、彼らが強い後悔とともに背負わなければこの重みはなかったはず
上でチラッと書いたが、終盤に明かされる「かもしれないもうひとつの真実」の演出は、この映画の独特な構成と、半ドキュメンタリー(真実の物語)であることと相まって、最後にいきなりスパイス効かせてきた感じがして痺れたなー
そういや、作品中の映画ネタはいくつあったんだろう?
レザボア・ドッグス?
マトリックス?
もしかしたらダークナイトも?