踊る猫

ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうたの踊る猫のレビュー・感想・評価

4.0
如何にもジョン・カーニー作品の亜流で売ろうとする雰囲気をナメて掛かってしまったからなのか、嬉しい期待の(もちろん良い意味での)裏切りを感じたように思った。とはいえ、「私の中の」次第点には達しているが評価は難しい。フランクという父とサムという娘の間にある「腐れ縁」的親子関係、サムとそのガールフレンドであるローズの同性愛、フランクのミュージシャンになりたかった夢、等などが仄めかされるだけで、それらが深く掘り下げられないのだ。従って、何処に焦点が当たっているのか分からないストーリー展開となっており必然的に頭の中でクリアな印象を結んでくれない。音楽は地味だが良いし、撮影もアラもなく特にレコード店でのライヴや夜道のキスシーンの光の当たり方に惹かれるものを感じた。だから、ストーリーが中途半端なのが余計に目立つのだ。だが、二番煎じを作らなかったその志は買いたい。
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