Kamiyo

恋をしましょうのKamiyoのレビュー・感想・評価

恋をしましょう(1960年製作の映画)
3.3
恋をしましょう(1960) 監督 ジョージ・キューカー
脚本 ノーマン・クラスナ

監督のジョージ・キューカーは、『若草物語』・『風と共に去りぬ』(クレジットなし)・『スタア誕生』・『マイ・フェア・レディ』を制作した名監督(『オズの魔法使い』も一時、監督だった)。
ビリー・ワイルダー監督によるマリリン・モンロー主演作と比べると、非常に薄味だ。

冒頭にモンローが 大ぶりの青紫色のセーターにストッキングで踊るシーンが 華やかでセクシーだが、やや肥え始めてきた体を隠す(細く見せる)効果も狙ったのか… なんて思う

フランスの大富豪のジャン・マルク・クレマン
(イヴ・モンタン)の祖先の成り上がりぶりマンガ的に描かれる。フランスの大富豪とアメリカのショーガール
という設定しかないか。クレマンは独身で女性遊びもお盛ん。ゴシップ雑誌を騒がすクレマンを茶化すお芝居が、
企画され、芝居のリハーサルを観に行った。
そこに登場して歌を披露した魅力的な舞台女優アマンダ( マリリン・モンロー )に一目惚れした

クレマンが、身分を偽りアプローチするが…。
芝居のプロデューサーがクレマンのそっくりさんを探していたので、クレマンはアレクサンドル・デュマという
偽名で、一座にもぐり込む。
しかしクレマンには芝居のセンスがない。そこはお金にモノを言わせて、超豪華なインストラクターを招く。
コネディアンのミルトン・バールが観客に大ウケするギャグを指導するが、どうも上手くいかない。歌は
ビング・クロスビーがコーチをして、踊りはジーン・ケリーが手本を示す。この実名三人のシーンが、意外で、
儲かったような気にさせるから面白い。

やはりモンローを観る映画であることは間違いないだろう。若くして逝ってしまった彼女にとっては最後から2番目にあたる出演作。やはり画面に映るだけでそのシーンを持っていってしまう魅力は相変わらずなのだけど、どうもいつもと違って元気がないように見えてしまうのは気のせいか。
彼女は大金持ちのイヴ・モンタンから一方的に好かれるという、言ってみればいつもの役回りをこなしているに過ぎないのだけど彼女の心中がいまいち浮き上がってこないもどかしさを感じる。モンローに対する当時の酷評(wiki)も無理がないかもなどと思ってしまう。夫で脚本を担当もしているアーサー・ミラーが色々と手を入れたらしいのだが・・・。
そんな目で見てしまうとモンローを追いかけるモンタンの芝居も何だか空回りしているように見えないこともない。まあシナリオ的にも空回りをする役割であり、そこが見どころの映画でもあるのだが。
プライベートでふたりは本当に恋に落ちていたらしいのだけど。それを誤魔化すためにわざとモンローはよそよそしい芝居をしていたんじゃないか? なんて勘ぐってしまう。まあゲスの勘ぐりですね。

金持ちが金にモノを言わせて、女を奪うストーリーで共感するところはない。ミュージカル仕立てで、もっと上手いストーリーがあったはずです。
ラストの正体を明かすシーンは『シャレード』に似てた気がする!
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