優しいアロエ

アラジンの優しいアロエのレビュー・感想・評価

アラジン(2019年製作の映画)
3.6
〈美女と歌ありゃすべてよし〉

 もともと新しい女性像を提示する存在だったプリンセス・ジャスミンを、本作ではさらに芯の強い人物へと強化。『ラ・ラ・ランド』のコンビの働きによって、彼女の叫びはさらにエモーショナルなものへと引き上がった。

 その一方で、大まかなストーリーについては「本家ですでに完璧だ」と、細かいところまでほとんど忠実に再現していく。意訳というより直訳だ。実写にそのまま翻訳するから違和感が生まれる。たとえば、ジーニーのパフォーマンスをはじめとした本家の心弾むような魅力は、どうしてもこの実写版から欠落してしまっていた。

 ご都合主義やテンポの速さへの抵抗感が下がるアニメというプラットフォームだったからこそ、ランプの魔人は自由に暴れ、動物たちは人間のような素振りを見せることができた。これは偏にアニメーションの魔力と言っていい。ディズニーがこれまでに創りだした夢の世界の数々。あれらはアニメーションのなかに閉じ込めておいたほうがよいのかもしれない。

 ともかくディズニーは、ポリコレに見合った衣装を既存のキャラクターに着させることにご執心で、総合的な換骨奪胎とは至らなかった。(面白かったけどね)
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