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青の帰り道のkazu1961のレビュー・感想・評価

青の帰り道(2018年製作の映画)
4.0
▪️Title :「青の帰り道」
Original Title :※※※
▪️Release Date:2018/12/07
▪️Production Country:日本
🏆Main Awards : ※※※
▪️Appreciation Record :2019-222
▪️My Review
とても胸に迫る、そんな青春群像劇です。
群馬県前橋市の田舎町と東京を舞台に、高校時代の同級生7人が、卒業後、夢と現実の間でもがきながらそれぞれの道を歩んでいく姿を10年に渡る歳月の中でのその苦しさ、辛さを見事に描いています。
少女漫画や小説を映画化した青春ものは今や邦画界では花盛りといっていいくらい量産されていますが、『青の帰り道』はそういった種類のものとは一線を画していますよね。
原案のおかもとまりは、大切な友人を失い「生きる道はひとつじゃなかったんだよ」と伝えられなかった後悔をもとに、「誰かの"生きること"への背中をおせたら」と23歳の時に本作原案の執筆をおこないました。そんな想いが作中から見事に伝わってきます。
その映画化も東京と東京近郊の田舎町を舞台に、風景をダイナミックに切り取り、予想以上に、若者たちの姿をリアルに、繊細にとらえた作品でした。
この時代背景となった10年間は、政権交代、東日本大震災、リーマンショックなどの事象が、日本社会を大きく揺さぶった時代です。映画は、それらを背景に、社会情勢の影響をもろに受けた若者たちの人生を、これでもかというくらいに追い込んで描いていきます。
インターネットが広く普及し、ツイッターなどのSNSが浸透していく様も織り込まれ、真野恵里菜扮するカナはもろにネットによる匿名投稿の悪意にさらされます。その他、ニート問題、DV問題など、少々詰め込みすぎの感はありますが、これでもかと追い込んでいくんですね。でもでも、最後はやっぱり“みんな親友だよね”と。。。
本作は違った意味でも話題になりました。そう紆余曲折を経て完成したんですね。2016年8月、世間の話題をさらうこととなった主演俳優の一人だった高畑裕太の引き起こした“事件”により、撮影中止を余儀なくされた作品なんで。それから約2年。スタッフ・キャストが交わした「絶対に撮り直す」という約束が結実し、17年夏の再撮影を無事に終え、ついに公開にたどり着いた作品でもあるんですね。それ故に熱量も半端ないですね。
そして、歌!!ラストに登場し、エンディングへと続いていく「たられば」という曲に心を鷲掴みにされました。
良作です!!

▪️Overview
群馬県前橋市と東京を舞台に、人生が交差する7人の姿を描いた青春群像劇。2008年、東京近郊のある町。高校卒業を目前に控えた7人の若者たち。歌手を夢見て上京する者、家族とうまくいかずに実家を出る者、受験に失敗して地元に残り浪人生活を送る者、できちゃった婚で結婚を決めた者……それぞれがさまざまな思いを胸に、新しい未来へと進んでいった。そして、3年の時が過ぎ、7人が再びあの場所に戻ってきた。3年という時間には、7人それぞれのさまざまな人生模様があった。真野恵里菜、清水くるみ、横浜流星らが7人の若者たちを演じ、平田満、工藤夕貴らベテラン勢が脇を固める。監督は山田孝之プロデュース作「デイアンドナイト」などを手がけた藤井道人。
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