踊る猫

魂のゆくえの踊る猫のレビュー・感想・評価

魂のゆくえ(2017年製作の映画)
4.0
素朴な映画だと思った。素材をレアなまま提出することに腐心している。悪く言えばひねりがない。田舎町の小さな教会がそのまま全世界の縮図となり、スケールの大きな宗教的論争が展開される……というほどキレッキレの出来にはなっておらず、資本主義が宗教を蝕んでいるとか環境問題もまた資本主義に左右されているという糾弾もさほど鋭いものとは思われず(いや、それ自体は大事なことだし健闘していると思うのだけれど)、終わってみればむしろ人々のキャラクターやラストで提示された「愛」が示す救済に惹かれるものを感じた。とはいえ、この題材を叩き台に別の監督が撮ったらどうなったのだろうとも思われる。その意味では本作はデモテープのような作品だ。それ故の魅力もあるし、それ故の限界もある。愚直に「巨悪」「欺瞞」と向き合う姿勢は皮肉抜きで支持したいと思うのだが、台詞に頼り過ぎて肝腎の映像の旨味が欠けているところに惜しいものを感じる。
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