GodSpeed楓

CLIMAX クライマックスのGodSpeed楓のレビュー・感想・評価

CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)
4.2
舞踊団の打ち上げで飲んでたサングリアにLSDが混入していた事から、みんなラリってしまうという、お話。

…と言えばシンプルなのだが、それによって起こる事態が想像を遥かに越えている。各々のインタビューで分かるダンス、セックス、ドラッグに対する価値観や、抱えている個人的な問題が、ドラッグのパワーでピタゴラスイッチも真っ青な連鎖反応を引き起こし、最低最悪の展開に導いていく。ここまで破滅的に振り切ってしまうと、もう笑いが止まらない。シンプル故に非常に面白い作品である。

そもそも基本的に低モラルというか、倒錯気味なメンバーが集っているにも関わらず、そこにLSDが投入されるので、正気な人物がほぼ不在。イカれた行動に対してイカれた発言をし、更にイカれた事が起こるのは必至である。後頭部大炎上は流石にスピード感があって笑ってしまった。"立ち失禁"という人によっては性癖にブッ刺さる可能性もある鮮烈なシーンがあるが、僕は「非常階段」というバンドのライブで、AV女優がステージに登って失禁したという逸話を思い出した。事実は小説より奇なりとは、よく言ったものである。

ミュージカル・ホラーという扱いではあるが、そもそもの元凶は?というミステリー要素もあり、当然犯人は存在する。ここまでの事態になることを見越していたのか、ただの憂さ晴らしかは不明だが、無関係な人物まで巻き込まれていることや、複数人に及ぶ死者が出ていることからも、この犯人は許されるべきではない。こんな結末を迎えた事からも、この犯人は「ジョジョの奇妙な冒険」6部のグッチョ(サバイバー)みたいな能力を持った新手のスタンド使いだと思って良い。

啓蒙活動に役立ちそうな、"クスリ、ダメ絶対映画"なので、更正施設等で使用するのをオススメしたい。

"不健康サスペリア"や"真ハング・オーバー!"と呼んでも良い。(良くない)

※とはいえ、「朝起きたら部屋に虎がいる」という部分だけでも、「ハング・オーバー!」は本作よりも酷い事態に陥ってるかもしれない…。
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