GodSpeed楓

燃えよデブゴン/TOKYO MISSIONのGodSpeed楓のレビュー・感想・評価

5.0
ドニー・イェン(以下、ド兄)の最新作!様々な過去作へのオマージュとリスペクト、そして愛に溢れた宇宙最強アクション・ラブコメ映画!師弟関係とも言える谷垣監督とのタッグ(「お前が監督やれよな!」とド兄に言われた模様)で、脚本も「スーパーティーチャー 熱血格闘」「追龍」のバリー・ウォン、そしてド兄アクションスタッフも勢ぞろいで制作された正月香港映画ノリの超傑作!

主演作品の傾向として、悪い言い方をすればイキりがちなド兄だが、本作では全くイキりを感じられず、とにかくド兄の「キュートな面」を全力でむき出しにしてくれており、ド兄ファンとしては全編通して興奮しっぱなし!「情逢敵手」や「最強囍事」のコミカルなド兄は本当にキュートなのだが、何故国内でソフト化していない作品ばかりなのか…ようやく来たか!といったところだ。

「SPL」「導火線」などの露骨なオマージュをぶち込んでド兄ファンを爆笑の渦に巻き込んでくれるけど、シーン自体がコミカルなので未見の方も笑えるはず!元祖「デブゴン」と「ドラゴンへの道」は丸出しオマージュされているので、本作の鑑賞後でも構わないので是非鑑賞する事をおススメする。特に後者はブルース・リーとチャック・ノリスの間に猫をブチ込む事で可愛さを最大限に引き出す事に成功した「猫好きのための映画」なので万人受け間違いなし、安心して観て頂きたい。

ちゃんと痩せてた頃のド兄アクション・シーンも用意されており、太るまでの経緯というプロローグもしっかり描いてくれる。決して太ったからコメディ・アクションになったというわけでは無いようで、この時点でドタバタでハチャメチャなアクション満載で観客のハートを鷲掴んで離さない。早すぎて顔がハッキリ見えなかったが、銀行強盗メンバーの中にユー・カンいなかった?アクション設計等で参加してるのはエンドロールでも確認できたけど、イキフン(雰囲気)がユー・カンっぽい人がいた気がする。

本作のアクションの素晴らしさとして、これまでの集大成と言わんばかりに様々な要素がテンコ盛りという点!お馴染みの凶悪ソバットや空中二段蹴りなど、ド兄映画の基本形とも言える現代アクションに始まり、高速で遠距離からミサイルのように飛び掛かる、殆ど水平ドロップキックの飛びつき腕十字、フランケンシュタイナー、バックドロップなどのMMA、プロレス要素。そしてブルース・リー仕込みのサイドキックにヌンチャク、果ては怪鳥音!!挙句にヌンチャクVS三叉矛ってロマンありすぎだろ!テンションが上がるに決まっている!!!

「昔やった俺が太るCM面白かったね」というテンションでスタートした企画だったのに、現場でモリモリ脚本を書き換えながら完成されたエンタメ傑作!ド兄と長い付き合いのメンバー、スタント達もド兄作品の経験者多数、そして何より舞台が日本!という触れやすさは、ド兄初心者向け作品として十分成立するのではなかろうか。今後は「最初に観るべきドニー・イェンの映画は?」と聞かれたら「イップ・マン」と「ローグ・ワン」だけでなく、本作も合わせて勧めたい。

ド兄とニコラス・ツェーは最新作で久々の共演済みなので、ここでイジられるとは思わなかった。残虐アクション作品が増えている昨今、最初から最後まで、ずっと笑顔で観れる映画なんて貴重だ。
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