GodSpeed楓

ディセントのGodSpeed楓のネタバレレビュー・内容・結末

ディセント(2005年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

暗闇で迫りくる恐怖との闘いを描いたパニック・ホラー。その大前提のため、全体的に画面が薄暗いので観辛いという難点を抱えているが、部屋も暗くして鑑賞する事で緊張感が爆上げになるため、是非おススメしたい。

再序盤でご主人とお子さんを失うというショッキングな出来事が起こるが、この"経緯"の部分は本編に1ミリに関係のないシーンなので、全体的に忘れて問題無い。「早く山に行けよ」と叫びだしたい気持ちは痛いほど分かるが、どうか落ち着いてほしい。

「レイダース/失われたゾンビ」という凶悪極まりないZ級映画で、序盤15分くらい無意味なシーンが繰り広げられる事を思い出してみよう。こういった拷問に等しい、時間をドブに捨てるという経験を経た映画マイスター諸君からしてみれば、こんな些細な時間は可愛いものじゃないか。そもそもホラー映画での導入部分というのは得てして真面目に観る価値が無いもので溢れ返っているので、本作もその例に漏れないと考えて良い。

しかし、このご主人の死に様はスピード感があり、実は本作で最高に笑えるシーンだ。「グリーン・インフェルノ」で墜落時に死亡した人と類似している、"窓をぶち破ってきた尖ったものに刺さって死ぬ"やつである。お楽しみに。

主人公の女性を元気づけるために命をかけた洞窟探検に誘うと言う時点で
かなり正気を疑うが、これは欧米では当たり前の価値観なのだろうか?"生を実感させる事で生命力を上げる"みたいな意味合いなのであれば、まだ納得はできるが。

女性陣6人組パーティと言えば、各々がろくでもない価値観でケンカを初めて、唐突に暴露合戦みたいになってチームワークが乱れた際に襲われて死者が出る、というパターンが往々にして存在するが、本作では非常に珍しい事にゴミ野郎が明確に1人だけ確定している。なんと他の5人には罪は全く無く、たった1人のせいでこのような惨劇に巻き込まれているのだ。

「みんなに内緒で、行き先を未踏の洞窟に変更したろw」
「地図?意味ないから持ってないわw」
「あかん、うっかり友達を殺ってもーたw」
「あいつ?助からんかったでw(怪物に殺されたとは言ってない)」

上記のように彼女こそがトラブルの発端であり、仲間をうっかり殺害した挙句、それをみんなに内緒にする。こんなに死すべき悪が味方側に存在しているくせに、当の本人が最も冒険慣れしている事、また、特段何かのプロフェッショナルでもない一般女性集団なので、こんな奴にも頼らなくてはいけないという極限状態がヒリヒリして堪らない。しかも亡くなった主人と浮気までしていた事まで発覚する。これは数え役満と言ってよいだろう。

全ての悪を抱えているキャラは、やはり酷い目に遭って死ぬべきなのだが、本作では悲鳴が聞こえるだけで残虐な殺され方は特に描写されていない。最近でいう「海底47m 古代マヤの死の迷宮」でマヌケがサメ2匹に同時に襲われて"フレ/ンダ"される爆笑シーンがあったように、ヘイトを集めた存在は、その分だけ悲惨に殺害されるべきだ。そこは非常に不満である。"ゼロ・レクイエム"を見習いましょう。

余談だが、アパラチア(Fallout76)の山でファルメル(TES5:Skyrim)に襲われるという内容なので、ベセスダ・ソフトワークス制作ゲームのファンであれば不思議と気になる作品かもしれない。内容には全く関連性は無いが、特に後者は薄暗い地下で散々戦う羽目になった恐怖を思い出すだろう。

こんな散々な目に遭っておきながら、続編で強制的に「もう1回遊べるドン!」されるサラが一番悲惨だ。人間の心が無いのか。
GodSpeed楓

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