うさふわ

ロケットマンのうさふわのレビュー・感想・評価

ロケットマン(2019年製作の映画)
3.8
ロケットの様に打ち上げられたエルトン・ジョンの孤独な半生。
「Rocket man burning out his fuse up here alone…」

いわゆる『天才アーティストが依存症に溺れる伝記映画』だが、この映画は伝記の枠を超えたファンタジックなエンターテイメントである。
タロン・エガートンが歌うまくてびびる。
アーティストのバックグラウンドや世界観に触れ、1人の人間として共感する事で、聴き流していた音楽をより身近に感じ、より深く吟味するようになるので、この手の映画は大筋が同じでもつい観てしまう。

グループセラピーの扉を開ける所からエルトンもとい、レジナルドの孤独の物語は歌と踊りに合わせて始まる。
みんなが楽しそうに踊る中で、際立つ孤独感。
満たされない愛でぽっかり空いた穴を埋めるように、あらゆる物に依存して脳を麻痺させるしかなかった。
本当に欲しかったのは両親からの愛。
愛を知らない者が自分自身を愛し、愛に気付くことは容易ではないが、愛は手に届かない幻影のようで、あらゆる形で身近に存在する。
孤独を乗り越えて愛を手にしたエルトンは今日も存命で、この映画の製作へ全面的に関わっている。エルトンの存在は孤独を抱えて生きる者へカタルシスを与え、孤独な宇宙に輝く希望の星となった。
人生に彩りを与えてくれる音楽と映画に感謝。
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