踊る猫

好きだった君へのラブレターの踊る猫のレビュー・感想・評価

3.9
当たり前の話として、マイノリティは数が少ないが故に「少数派」で普通ではないと見做される。この映画はそんな普通ではないマイノリティの使い方が上手いなと思わされた。主人公が韓国系のアメリカ人であり黒髪を楚々と伸ばしたチャーミングな存在であること、父親が男の産婦人科医であること、ゲイの同級生が登場すること、等など……こうしたマイノリティの配置から確かなIQの高さが伺える。そして80年代こそが我々にとっての「古典」「一般教養」となった時代のリアリティを描いている生々しさもポイントが高い(むろんもっと昔の記憶も存在するが、私たちにとって「すぐそこ」にあるというリアルタイム感をもたらす記憶がそんな近しい80年代である、ということだと思う)。ティアーズ・フォー・フィアーズの使用やジョン・ヒューズ、『ファイトクラブ』といった固有名詞の使用の上手さに舌を巻いた。この映画、単純なラブコメのようでありながらギミックが効いている。
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