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凪待ちのwoosのレビュー・感想・評価

凪待ち(2019年製作の映画)
4.5
TOHOシネマズ新宿にて鑑賞。
2019年新作劇場鑑賞58作目。
客席は満席。
テーマ「お前も俺と一緒だな」
今週のウォッチ作品。

[全体として]
香取慎吾さんが主人公でギャンブル狂の印刷工(仕事のやる気なし)を演じるヒューマンドラマ。
サスペンスだが、ブラックなコメディでもあり感動もある映画。はっきり言って今年観た邦画で一番好きな映画だった。
とにかく香取慎吾さんが演じる郁男はとてもクズで、分かっているのに世話になった人達を裏切ってしまう。西田尚美さんが演じる内縁の妻状態の亜弓(美容師)のへそくりをくすねて競輪に興じている毎日だ。競輪というのは、競馬やパチンコなどのギャンブルに散々ハマって「最後に行き着くギャンブルだ」と、知り合いの歯が5本くらいしかないおっさんが言っていた。郁男は正にそこまで行き着いちゃってる感じの下劣なパーソナリティなのだが、何故か可愛げがあるので、周りから面倒を見てもらえるし、亜弓の連れ子である美波にも懐かれている。結局大人に成れていないオジさんのはなしなんだろう。
そんな人間なので、亜弓の故郷へ引っ越してからも同じようなモラトリアム全開の正に「髪結いの亭主」になろうとしたのだが、そうは問屋が卸さなかった。凪のような状態の郁男の人生が急に時化の状態になってしまい大いに狼狽し、凪の状態に必死になって戻ろうとする心情描写を表したタイトルなんじゃないかと思う。

[良かったところ]
地方の村社会の嫌なところと良いところがしっかり入っている。欲への弱さと葛藤が起きる時のお決まりのシーンがあったが、セリフではなくてカメラを斜めに傾けて正論が歪んで行く様子を表していてすごく気持ちが分かるシーンだった。自分も目先の欲に弱いので、思わず笑ってしまう。人によっては怒る人も出てきそうな描写である。そのシーンだけではなく、登場人物の心情描写が絶妙なセリフで考えている事が分かるように作られていてすごく上手い。カイジの実写版は白石監督に撮ってもらいたかったといえば観た人には伝わるんじゃないかと思う。
リリーさんは。。。あ、これ何を言ってもネタバレになりそうだからやめておこう。

[気になったところ]
周りに恵まれ過ぎじゃね?

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もう一回観に行く予定です。万人にオススメです。
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