滝和也

将軍家光の乱心 激突の滝和也のレビュー・感想・評価

将軍家光の乱心 激突(1989年製作の映画)
3.8
「理不尽なり!」

激突!緒形拳vs千葉真一!

日光から江戸城へ!
お世継ぎ様を守り、
理不尽に戦を挑む
勇者七人!
対するは数百騎!

「将軍家光の乱心 激突!」

80年代末に久しぶりに東映が創り出した時代劇。そもそも京都東映撮影所はTV時代劇に協力し、この時代良質なドラマを送り出していたが、経費のかかる映画からは手を引いていた。だがTVの大型時代劇の状況から名物社長岡田氏がGOを出し、アクション超大作として東映時代劇が蘇った経緯がある…。

将軍家光の治世。家光は長子竹千代を嫌い、佐倉藩に守りを任せ遠ざけていた。だが、自らの死が近づいた時、世継ぎとする事を拒み、老中阿部重次に命じ竹千代暗殺を企てる。日光から5日以内に江戸城に参じ、元服の儀を上げよと命じ、その道中にて命を取れと…。佐倉藩堀田正則は一計を案じ、阿部と因縁のある石河刑部ら浪人を雇い、竹千代を守らんとする…。

石河刑部に緒形拳、立ちはだかる阿部配下目付伊庭庄左衛門に千葉真一。阿部に松方弘樹、堀田に丹波哲郎と言うスターを揃えた布陣。千葉真一がアクション監督を兼ねており、JAC勢が荒唐無稽なアクションを担当し、徹底したエンターテイメントを目指しています。

そもそもド派手なエンターテイメント時代劇を作ると言う所からスタートしており、その中身は集団時代劇の傑作、13人の刺客+柳生一族の陰謀。東映が得意とした路線を更に拡大したモノ。ここに七人の侍的な要素を加え、竹千代の命と言う宝を争奪すると言う古くからのエンタメ要素(武芸帳争奪戦などの)組み込んだストーリー。確かに面白い筋立てなんですが、盛り込み過ぎは否めない(笑)故にやや各キャラクターの書き込みが弱かったりするのですが…。

とは言え、そんなモノよりも千葉JACのアクションがメインであり、そのアクションエンターテイメントの総決算になってます。武芸帳争奪戦と書きましたが、嘗ての百地三太夫の忍者アクション、戦国自衛隊の爆破アクション、それと柳生一族の陰謀などで描かれた騎馬アクションの全てをぶっこんだ派手なアクションが次々と展開されます。

爆破は鉱山、荒野、橋と派手にブッ飛びますし、前述した作品からの馬ごとブッ飛ぶシーンも勿論あり。建物は油問屋なので火だるまアクションもあります。まさかの長門裕之さんが…火だるまに。(特撮と代役だけど…(笑))更に爆破屋に若き織田裕二が出てます(^^)湘南爆走族は確かに東映でしたから、その繋がりか(笑)。中々壮絶でした。

洋画の西部劇アクションからもかなり、影響うけてますが、やはり最大の見せ場は緒形拳対千葉真一の殺陣。こちらも黒澤の用心棒に影響された宿場町の対決。また必殺4で見せたアクションを盛り込みダイナミックな展開を見せますね。緒形拳は実は新國劇の出身で一応殺陣もできるはずで、魔界転生でも十兵衛千葉と武蔵役で対決してます。ただ…今作もアクション監督の千葉がリードしてますね。

クライマックス後に入るエピローグ的に入るラストが冗長な所があるのですが、これは致し方なしかなと。その辺りが松方弘樹の見せ場ですからね。柳生一族の陰謀の萬屋錦之介的な(^^)

バブル期に突如蘇った東映集団時代劇でしたが、その時点で邦画がやれる事を全てやったアクションエンタメです。CGなぞ当然ありません。確かに昔見た際は当時の洋画と比べ…と思いましたが、再度見てみると頑張ってますし、粗はありますが、面白かったですよ。

事更に…千葉真一さんは偉大な方だったと感じざる得ないですね。邦画で真っ向からアクションエンタメに対峙されていたのは千葉真一さんだけかもしれません…。

追記…少林寺に出てた猿券使いが招かれて出てますね。猿券、鋲票や3節棍を使いこなし、アクションと笑い、子役との絡みも良かったですね…。
滝和也

滝和也