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僕はイエス様が嫌いのNUZOOのレビュー・感想・評価

僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)
3.7
映像が綺麗。子役もすごい自然。鶏の演技も見事。

信仰に救いを求めるとはどういうことなのかっていう問いかけや途中のショックな展開は『シークレット・サンシャイン』にも近い感じがあった。

小学校までよく教会に通ってたこともあり、ユーミンさながら「小さい頃は神様がいて」ほぼ無自覚な信仰を身近に感じながら、実際自分もいろんなことを祈っていたように思う。ほとんどはくだらないことを。
自分は思春期に教会からだんだん離れていくことになったけど、教会にいる大人たちとか親を見てると、大人になってから先にある信仰は子供の頃あったものとはちょっと違ってる気がする。
この作品はその境目を描いていたようにも見えた。

信仰があったとしても、先生は完璧な人格者とは言えないし、祈りも届かないし、いつも笑ってた友達のお母さんも笑わなくなるし、これ意味あんの?って考えるのはまあ当然だと思う。
でも本当は見返りを求めるのが信仰ではなくて、自分を自分一人で完結させずに常に何かに投射する、その行為が信仰というものなんじゃないかしら……。なので、主人公の少年にとってのあの大きな出来事は、その信仰のあり方のターニングポイントとして描かれてると思った。
この先彼が信仰とどうつきあうのか、離れていくのかはわからないけど。

自分には何もできないことに対して何をすればいいのか、どういう態度でいればいいのか、わからないけど何かする。そんな花束のシーンには力があった。

印象的に出てくる白い障子、白い雪、白い花といった白いモチーフに穴を開けたり、足跡がついたり、捨てたりする行為がどういうことを表してたのか。わかるようなわからんような。どれもいいシーンだった。
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