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サンセットのreifのネタバレレビュー・内容・結末

サンセット(2018年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

衝撃作『サウルの息子』から、ネメシュ・ラースロー監督の次の作品を待ってました。公開時はジャック&ベティが遠くて行けず、レンタル開始初日にやっと観られた。気難しい文学青年(監督ね)炸裂でこりゃ難しいな。わたしは好きですけど。舞台は 1910 年代ブダペスト。オーストリア・ハンガリー帝国の「落日」時代と思われます(ヨーロッパ近代史の知識がない…)。ウィーンに次ぐ繁栄を誇った都の格式高い帽子店レイターに、何も持たない美女がやって来る。「雇ってくれ」と。この美女イリスが「探偵」なんですがまあ、呆れるほど誰も質問に答えない。京都か! 与えられる明快なメッセージは「ここにいてはいけない」「ここを去れ」だけで心が折れるわ…。イリスはイリスで人の言うことをまったく聞かず仕事もせず勝手に美しい街を歩き回る。起こっていることは、帽子店の三十周年式典を中心に、退廃という悪と無法という悪の争いです。考えると深い。ポンポン人が死んだり暗殺に失敗したりの脈絡が全然なく好感。こうでなくちゃな。式典はカオスの中に果て、突然、時は流れて第一次大戦の塹壕。戦争というものがあそこからここに至り、そこにイリスは相変わらず強い瞳で(「見る」ために)生きている。という重層的なメッセージを伝えるには不親切すぎるぞ! わたしは好きですけど
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