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無限ファンデーションのtetsuのレビュー・感想・評価

無限ファンデーション(2018年製作の映画)
4.6
ムーラボの審査をお手伝いさせていただき、鑑賞!

内気な女子中学生"未来"は、
不思議な少女"小雨"、演劇部の"なのか"との出会いを通して少しずつ成長していくが...。

今回のムーラボ長編部門私的ベスト!
大まかな設定が決まっている以外、他は全てエチュード(即興演技)という野心作。とはいえ、その試みが上手く作用しているので、そこから生まれる独特の空気感や緊張感が秀逸な作品だった!

同じく南沙良さん主演の青春映画に『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』という作品があったが、音楽が重要な役割を占めている点、内気な女子校生の友情と成長を描いている点など、共通点を見比べてみるのも面白いかもしれない。
(というか、まだ未見なので純粋に観たい。笑)

また、個人的には一昨年の私的ベスト邦画『はらはらなのか。』で主演を務めた原菜乃華さんが、引き続き"なのか"役で登場するのも嬉しかった!
同じく女優を目指す設定ということもあり、地続きの作品にも見える本作は、ひたすらファンの自分が得をした映画ともいえる。笑

そしてなんといっても、主人公の母親役・片岡礼子さんの落ち着いた名演。
作中では唯一、主人公以外のキャラクターと直接的に関わらない人物であるが、その存在感がすごい!
常に主人公の拠り所となる登場人物は、間違いなく彼女だからこそ出来た役回りであり、同じく母親役として登場する名作短編『おるすばんの味。』を思い出した。

ここから、多少ネタバレ
(嫌な方は下までスクロールしてください!)

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物語の終盤では、ある修羅場がたて続けにおき、些細ながらも絶望的な状況へと物語は展開していく。
一見、"取り返しのつかない状況"になる本作が、そのあと辿る展開は予想以上に感動的だった。
女子校生の青春物語と思われていた作品が、「かつて中学生だった先生とある少女の物語」という裏ストーリーによって、少しずつ深みを増していくのが印象的で、
「どんなことがあっても希望を持って生き続ければ...。」
そう語りかけるようなクライマックス="西山小雨"さんの歌唱シーンは素晴らしかった。
押し寄せる感動は形は違えど日本版『ボヘミアン・ラプソディ』といっても過言ではないほどで、自分が去年観た邦画で、一番、涙腺が崩壊したシーンでもあった。

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というわけで、「若さは"未来"があること」とも言うべき、希望に溢れたメッセージをくれる本作。
学生生活に悩み、未来に不安を抱えている中高生にこそみてほしい傑作でした!
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