伏見の剛力

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語の伏見の剛力のレビュー・感想・評価

3.9
なぜ四字熟語みたいな日本語がタイトルに入っているのか若草物語とはなんなのか日本昔話のリメイクなのかどうせポスターからしてフォレストガンプみたいなものだろう走ってるしと調べる気すら起こりませんでした。

ですがレディバードの監督と主人公、ブラックウィドゥとミッドサマーのピュー、俺たちの(俺の)エマワトソン、アカデミー賞ノミネートという折り紙付きであれば予習などどうでもいいじゃないですかそのまま世界にダイブしましょう。

本作の物語は現在過去現在過去現在…で進行するのですが私も過去に戻れるのであれば予習したいですね。

最初は赤の他人の何気ない日常の現在と過去が交互に映し出されてガールズトークが始まった時には俺はタランティーノのデスプルーフイングラインドハウスを観ているのかと錯覚するほど置いてけぼりを食らいました。
エレベーターの中でくらい黙れないかね君らって奴らいるでしょあいつらを観ている感覚でしたよ。


灼熱の魂では現在の主人公と過去の主人公の母親、ブルーバレンタインでは現在のハゲゴズと過去のゴズ兄という非常に区別しやすい現在と過去を行き来する作品でしたが本作は現在と過去の差は確か7年くらいでしたか?ですが登場人物達の顔つきが変わってないのでここは現在か過去か分からぬまま取り残されそうでした。

このままではエマかわいいな~ハァハァで終わってしまいます何かヒントはないかとイコライザーのマッコールさんばりに映像の隅々まで目を凝らしたところ、ベスに注目すると自分は今現在か過去どちらにいるのか瞬時に判断できるようになりました。
また途中からとある人物の髪型が変わるのでこれも判断材料となり取り残されることなくタイムスリップ出来ました。

いや~危なかったですね。
映画館で観てるのにメメントのガイピアースのように俺は今どこにいるんだ状態でしたら金をどぶに捨てたようなもんですからね。

先日観たアナANNAはちゃんと過去に戻るときに何年前と表示してましたからこの若草物語とやらに多くを求めすぎていたのかもしれませんね私は。

ですがタイムスリップしていく仕組みに慣れてくると序盤の説明のない何気ない日常やティモシーシャラメとは対照的な男性やくだらんガールズトークなどが後々効いてくるんですよねあの頃はこうだったなでも今はこうだなと終盤になるにつれ自然に頭の中でこれまでの現在と過去の伏線回収が始まりました。

そしてこの伏線回収を観ている側の記憶力に頼るも常に現在から過去へと切り替わることにより頭を使かう分印象に残りやすい脚本には脱帽です。

女性は結婚して当たり前の時代にブスや童貞の負け惜しみじゃなくとある美人の登場人物が
「私にはやりたいことがある、だから結婚なんてしてられないし考えてる暇もない」
と言ってくれます。
そうだそうだと私の心が軽くなった瞬間
「ただ…寂しいの」と言いやがりました。
はい、おじさんの味方は誰一人いなくなりました。
伏見の剛力

伏見の剛力