へたれ

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のへたれのレビュー・感想・評価

3.3
良かったとこ1 回想シーンに切り替わった時のシアーシャ・ローナンの顔
汽車で帰省する時の疲れた顔と、その次のシーンの若々しい顔のギャップは本当に良かった。たかが数年程度の差なので、演技分けが難しいはずなのに、大人と少女の表情がちゃんと違うのは素晴らしい。

良かったとこ2 序盤のジョーとローリーのダンス
ジョーとローリーの出会いのシーンとしては、ここの演出は、演じる二人の楽しさも加わって洒落が効いてた。

ダメだったとこ1 ムダに技巧的な脚色
もはや若草物語のリミックスと言っても良いくらい。原作小説のエピソードを分解し、テーマ的に近いシーン同士をグルーピングしたうえで、時系列は無視して喪失感とノスタルジーを前面に出すようにエピソードを並べた構成にしている。そうすることで、ボーイフレンドを妹に取られた心境や、自立を目指しながらも結局は結婚になびいていくところなど、現代では非難されそうな場面も、一応は飲み込めるようなごまかしが施されている。その代わりに失ったものは、家族の繋がりの濃さで、次女と四女が物語の核になる一方、病弱な三女は次女の成長のきっかけに過ぎず、長女にいたってはほとんど空気という状態。これを若草物語と呼ぶのはさすがに無理がある。

ダメだったとこ2 華々しすぎる衣装たち
南北戦争の頃なので、南部からの綿花の供給が不足してたと思うんだけど、この自称「貧しい」家庭にはどんだけ生地があるんだと驚くぐらい、次から次へと衣装が変わる姉妹たち。その結果、結婚は経済だと劇中で何度か言われていることさえ説得力に欠ける。
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